ラグビーリパブリック

花園で20年。デフラグビー写真展示会開催中。見て、知って、「話せる日」もあるよ。

2019.12.31

左から元デフラグビー日本代表監督の吉識伸さん、現監督の落合孝幸さん、カメラマンの長田耕治さん



 全国高校ラグビー大会が開催されている花園ラグビー場。同スタジアムの正面入り口から入ってすぐのコンコース右奥に、その空間はある。

 聴覚障がい者ラグビー(デフラグビー/DEAF RUGBY)の活動を伝えるスペースだ。
 その魅力を伝える写真がたくさん飾ってある。プレーしている人たちのことを教えてくれる人がいて、笑顔もある。
 コンコース内での場所こそ変われど、その活動は全国高校大会の開催中に20年ほど続いている。今回は12月27日から1月3日の開催だ。

 12月30日には、元デフラグビー日本代表監督の吉識伸(よしき・しん)さんや、現在同代表の監督を務める落合孝幸さん(元日本代表選手/主将)、写真撮影を通してデフラグビーを広く知ってもらう活動を続けているプロカメラマンの長田耕治さんがブースに立った。
 1月3日も、同様に魅力を知る人たちがそこにいる予定だ。

 障がいレベルの資格規定などの理由から、パラリンピックやデフリンピックの競技にはないデフラグビーは、世界各国で活動されているほか、独自の世界大会を開いたり、国際交流がおこなわれている。
 日本では『特定非営利活動法人 日本聴覚障がい者ラグビーフットボール連盟』の前身、『日本聴覚障がい者ラグビーを考える会』が1995年に発足した後、国内外で様々な活動を続けている。

 2002年にはジャパンセブンズに参加。同年にはニュージーランドで開かれた第1回デフラグビー世界大会、7人制の部でウエールズ、ニュジーランドを破って準優勝の成績を残した。
 昨年(2018年)は16年ぶりに開催された国際大会、ワールドデフラグビーセブンズに参加した日本代表が4位になった。今夏は香港遠征も実施した。

 花園ラグビー場での展示会は、そういった歴史を支えてきた活動のひとつだ。
 存在を知ることで同じ境遇の人がプレーを始める。賛同者を得ることで練習会や国際交流が実現する。
 多くのアクションが起こるきっかけを作ってきた。

 音を頼りにすることが多いラグビーを聴覚に障がいがある人でもプレーできることを知り、選手を受け入れるラグビースクールやクラブも増えている。
 それがデフチームを組むことを難しくしている側面もあるが、このカテゴリーのラグビーが秘める可能性を多くの人に知ってもらうことにつながっているから嬉しい。

 2005年度の全国高校大会で、東海大翔洋高校(静岡)のSHとして花園の芝を駆けた倉津圭太は、現在もデフラグビー日本代表の中心選手として活躍中だ。
 カメラマンの長田さんは、彼がまだ下級生の頃に荷物番をしていたときの姿を覚えていると笑う。

「そういう想い出を考えると、このブースも長いですね。平尾誠二さんが顔を出してくださったこともあります。なんか(デフラグビーの存在を)聞いたことがあるけど、という人が、実際にデフラグビーの選手とここで触れ合って、本当にプレーしている人がいるんだ、とあらためて知ったり、何かを感じてもらうことがいいな、と思っています」(長田さん)

 2020年には香港チームの来日、フィジーでの大会参加などを計画している。
 そのことや、これまで、これからの活動について知りたい方は、ぜひ、1月3日に同ブースへ。


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