春の選抜大会、夏の7人制に続き3つ目のビッグタイトルを狙うAシードの桐蔭学園（神奈川）が、12月30日におこなわれた第99回全国高校ラグビー大会の2回戦で長崎北陽台の挑戦を38－7で退けた。
コンタクトが強く、サポートも速い桐蔭学園は序盤からゲームを優位に進め、PGで先制すると、前半9分には敵陣深くのラインアウトからの攻撃をPR床田淳貴がパワフル突進でフィニッシュした。
昨年度のベスト8に続いて今季もファンから“青い旋風”を期待された長崎北陽台は、敵陣でプレーする時間は少なくなかったが、桐蔭学園のプレッシャーを受けてミスが続き、波に乗ることができなかった。
再び攻めに転じた桐蔭学園は23分、12フェイズを重ねてブルージャージーの壁を崩し、主将のSO伊藤大祐が追加点を獲得。30分には北陽台が自陣深くでラインアウトを乱し、ボールを確保した桐蔭学園のFL久松春陽大がインゴールに飛び込んだ。
24－0で折り返した桐蔭学園は、後半10分、CTB渡邉誠人とNO8佐藤健次の力走が続いて加点し、13分にはテンポのいい連続攻撃でゴールに迫るや、SO伊藤がピンポイントのキックパスを左外のWTB飯塚稜介に通し、トライが生まれ大差がついた。
桐蔭学園の堅守に苦しんだ長崎北陽台は、試合終了間際、チーム一体となったラストアタックで、主将のCTB岡崎颯馬がディフェンダー2人をひきつけてオフロードでFB山口泰輝に通し、エースの15番がトライを決め、勇敢な戦いを終えた。
桐蔭学園と同じくAシードの京都成章（京都）は、1回戦から勝ち上がってきた尾道（広島）相手に苦しみながらも、32－14で逆転勝ちした。
先制したのは尾道だった。この試合が初戦だった京都成章にプレッシャーをかけ、前半3分、ゴール前のスクラムから攻め込み、PR岩井陸がインゴールにねじ込んだ。
京都成章は7分、CTB松澤駿平が防御網を切り裂き得点。16分には自陣深くのターンオーバーからボールを回し、FL三木皓正らの力走やクイックリサイクルで攻め上がり、FL村田陣悟がパワフルな走りで逆転トライを挙げた。
しかし尾道は22分、SO澤田壮太郎がディフェンス裏に蹴ったボールがラッキーバウンドとなって仲間のCTB梁井大希の手に収まり、走り抜け再びリードを奪った。
10－14で折り返した京都成章は後半8分、敵陣深くのラインアウトから、モールにバックスも加わって押し切り、再逆転のトライ。その後、WTB西川彪馬がブーツで加点して20－14とし、20分には、自陣からのバックス展開でWTB太田匠海が抜け約50メートル走り切り、点差を広げた。27分にはハーフウェイから抜けた身長191センチ、体重110キロのLO本橋拓馬が力強い走りで貴重な追加点を挙げ、京都成章が競り勝った。
京都成章は1月1日の3回戦で石見智翠館（島根）と対戦する。
埼玉県立浦和高校は全国屈指の進学校。ラグビー部創部1946年、6年ぶり3回目の全国高校大会出場。そして、12月27日に花園で歴史的初勝利を挙げ、30日の2回戦では青森山田（青森）との接戦を33－28で制し、正月を大阪で迎えることになった。
浦和は前半4分、敵陣深くに入ってSH宮崎隆之介がキックパスを放ち、WTB金田縁が空中戦で競り勝ち先制した。
一方、初出場で2勝目を狙った青森山田は9分、こぼれ球を拾ったWTB伊藤和樹がゴールに持ち込み、コンバージョンキックも決まって同点。11分にはWTB伊藤が自陣から左外を駆け上がって大きくゲインし、内でサポートについていたSO宮下大輝につなぎ、走り切って逆転した。
しかし浦和は24分、ゴール前でモールを形成し、抜け出したNO8松永拓実がトライ。14－14で折り返した。
後半最初に得点したのは青森山田で、キックオフから間もなく、NO8リサラ・フィナウが中央突破で大きくゲインし、CTBハニテリ・ヴァイレアにつなぎ勝ち越しトライが生まれた。
だが浦和は5分、相手のラインアウト失敗からボールを確保して敵陣深くに入り、FWが連続突進、最後は主将のNO8松永がゴールラインを割り、ファンの歓声を浴びた。同点とした浦和は17分、ゴール前でPKを得ると、HO山際毅雅がクイックタップから突っ込んで勝ち越しトライを決めた。勢いは止まらず、25分もFWがゴール前で猛攻、今度はLO梯拓人がねじ込み、33－21となった。
青森山田は27分、CTBヴァイレアが敵陣10メートルラインから抜けて走り切り、コンバージョンも決まって5点差に詰めた。が、浦和は残り時間、主将のNO8松永がブレイクダウンのファイトでターンオーバーを連発するなど青森山田の反撃を止め、激闘はノーサイドとなった。
勝った浦和は1月1日、今季2冠で優勝候補の桐蔭学園に挑む。