大学選手権で初陣の3回戦を突破していた筑波大だったが、12月21日の準々決勝ではこの日から参戦の東海大に跳ね返された。
東京・秩父宮ラグビー場での一戦。今季の関東大学対抗戦Aで慶大を破るなど今季好調の筑波大は、攻める際のテンポと工夫で魅する。1対1で前進するや狭い区画に浅いラインを形成したり、飛び出した防御の背後にキックでパスを通したり。
対する関東大学リーグ戦王者の東海大は、終始力強さを発揮もペナルティーやエラーが目についた。7―0とリードして迎えた前半32分には、ハーフ線付近中央でのスクラムを猛プッシュ。相手を仰向けにしてコラプシングの反則(塊を故意に崩す行為)を誘ったものの、直後の敵陣深い位置でのラインアウトでミスを犯す。
もっとも後半13分には、CTBの眞野泰司主将の防御裏へのキックからSOの丸山凜太朗がトライ。直後のゴール成功で14―3とリードを広げると、序盤から機能していた防御で試合のターニングポイントを作る。
後半15分頃、筑波大は敵陣22メートル線左のラインアウトから絶妙なムーブで中央の防御を突破。パスコースへCTBの野中亮志が駆け込み、タックラーの目の前で右へ深い角度のパスを放る。このボールを受け取ったのはCTBの島田修で、その右隣りにはWTBの仁熊秀斗、FBの松永貫汰という2人のサポート役が連なる。
防御システムの網目を縫うように、島田、仁熊、松永と順に短いパスを繋ぎ、一気にゴール前へ突入する。ところが、その後も右、左、左、左とフェーズを重ねる筑波大に、東海大の壁は崩されない。
筑波大はその後も仁熊のラン、SHの杉山優平主将のサイドアタックとオフロードパスなどでじりじりと前進するが、16フェーズ目のパスが東海大へ渡ってしまう。その後、筑波大はトライを奪えず、東海大は38、40分に加点した。24―3。ノーサイド。
「敵陣ではテンポアップして順目、順目で攻めようとしました。相手はポッドアタック(左右に満遍なく散る陣形)をしているからか、ディフェンスも内側(のラインの幅)が広く、(接点に)近いところには(比較的身軽な)バックスリーが入ったりする。それらを狙っていたのですが、徐々に相手も僕らに対応。最後は内側を崩しきれず、自分たちのミスで終わってしまった」
攻めきれなかった背景をこう語るのは、筑波大の杉山主将。かたや東海大の眞野主将は、試合を左右した場面を振り返る。
「あの時間帯、あの点差。ここで筑波大が点を取るか、東海大が守りきるかはゲームの流れ的にも重要になるとわかっていた。まずはそのことと、そこでハードワークしないと取り返せなくなることを皆に伝えました。あとは、速いセット。走り続けることにこだわり、声をかけていました」
東海大は、このほかの場面でもタックルとリロードで光る。LOの中村匡汰、FLのレキマ・ナサラミ、WTBの林隆宏が何度も刺さり、FLの山田生真は孤立する筑波大のランナーへジャッカルを繰り出す。SHの山菅一史も、持ち前の運動量と危機察知能力で防御ラインの裏をカバーし続けた。
この午後は眼か底骨折から復帰という眞野主将は、3季ぶりの4強入りに「ペナルティーなどで後手に回る部分もありましたが、自分たちが大切にしているディフェンスでハードワークできたのが勝因になった」と総括。1月2日には秩父宮で昨季王者の明大とぶつかるだけに、気を引き締める。
「今日の反省を活かし、筑波大さんの思いを背負い、次を戦いたいです」