ラグビーリパブリック

大学選手権連覇狙う明治が関学にヒヤリ辛勝。天理は流経に逆転勝ち、東海、早稲田も4強入り

2019.12.21

明治大×関西学院大の激しいぶつかり合い、押し合い(撮影:高塩隆)


 第56回全国大学ラグビー選手権大会は12月21日、東京と大阪で準々決勝がおこなわれ、このラウンドから登場したトップ4シードの明治大、天理大、東海大、早稲田大が勝ってベスト4入りした。

 2季連続の大学日本一を狙う明治大(関東大学対抗戦A 1位)は秩父宮ラグビー場で関西学院大(関西大学Aリーグ 3位)と対戦し、苦しみながらも22-14で制し、準決勝進出を決めた。

 明大は前半6分、SO齊藤誉哉がランでディフェンダーをひきつけスペースをつくり、WTB矢野湧大が走り先制。
 しかし関学大は10分、敵陣深くのスクラムからの攻撃でCTB山本悠大が抜けトライ、コンバージョン成功で逆転した。関学はアグレッシブなディフェンスで明大を苦しめ、スクラムでも奮闘して活気づいた。

 明大は35分にラインアウトからモールで押し込み、12-7として前半を終えたが、ハンドリングエラーが多く、後半も自らチャンスを逃すなど苦しい展開が続いた。

 関学は後半に入ってもエネルギッシュにファイトして食らいつき、5点差のままラスト15分の戦いに突入。
 しかし67分(後半27分)、明大はLO箸本龍雅のパワフルランで敵陣深くに入ってチャンスとなり、すばやく右に展開してWTB山崎洋之がトライを決め、ゲームは動いた。19-7とした明大は75分、スクラムで相手の反則を誘い、SO齊藤がPGを決めて貴重な追加点。
 関学大は逆転できなかったものの、最後まで果敢に挑み続け、試合終了前には4年生のSH山内俊央がトライを決め、誇り高く戦い終えた。

骨折した眼の周辺を守るためゴーグルをつけてプレーした東海大の眞野泰地(撮影:高塩隆)

 秩父宮での第1試合は、関東大学リーグ戦1部優勝チームの東海大が筑波大(関東大学対抗戦A 4位)と対戦し、24-3で競り勝ち2季ぶりのベスト4入りとなった。

 均衡が破れたのは前半19分だった。東海大がラインアウト後、FLレキマ・ナサミラの突進などでゴールに迫り、密集サイドを抜けたPR中野幹がインゴールに突っ込み先制した。
 筑波大は前半、何度か作ったチャンスでトライは奪えなかったが、ハーフタイム前にSO山田雅也がPGを決め、4点差に詰めて折り返した。

 しかし、東海大は53分(後半13分)、敵陣10メートルライン付近でターンオーバーすると、CTB眞野泰地が無人のスペースにキックでボールを転がし、チェイスに勝ったSO丸山凜太朗がインゴール右隅に飛び込み貴重な追加点となった。
 筑波大は後半も敵陣深くに入ったシーンがあったが、東海大のディフェンスは粘り強く、ブレイクダウンではFLナサミラなどが激しくファイトした。筑波大のアタックに耐えた東海大は78分、ラインアウトからモールで押し込み勝負あり。試合終了前にはナサミラのビッグゲインからSH中村友哉、WTB林隆広とつないでトライを挙げ、次のステージへコマを進めた。

3トライを挙げるなど大活躍だった天理大のシオサイア・フィフィタ(撮影:早浪章弘)

 初優勝を目指す関西王者の天理大は東大阪市花園ラグビー場で流通経済大(関東大学リーグ戦1部 3位)と対戦し、4点ビハインドで折り返したが、後半立て直して58-28で勝利。2季連続の準決勝進出となった。

 後半途中まで、どちらも取られたら取り返すシーソーゲーム。
 天理大は序盤、スーパーラグビーのサンウルブズにも選出されたCTBシオサイア・フィフィタが先制し、HO北條耕太もトライを決めてリードを奪った。
 対する流経大は15分、敵陣10メートルライン付近中央からLOタマ・カペネが抜け、サポートについていたHO松田一真につないでトライ。19分にはパスカットから攻めに転じ、FB河野竣太が切り込み、WTBイノケ・ブルアにつないで同点、河野のコンバージョンも決まり逆転した。
 天理大が25分にフィフィタのパワフルランで活気づけば、流経大は33分、敵陣深くでフリーキックをもらうと速攻、中央から左に展開してFB河野が防御網を破り、再逆転でハーフタイムとなった。

 しかし、17-21で折り返した天理大は後半早々、フェイズを重ねてゴールに迫り、FL松岡大和が突っ込んで得点、リードを奪った。
 流経大は47分(7分)、HO松田の力走で敵陣深くに入ってたたみかけ、ゴール前に切り込んだFB河野からオフロードパスをもらったFL粥塚諒がフィニッシュ。再びゲームをひっくり返した。
 それでも天理大は50分、CTBフィフィタのハットトリックで勝ち越すと、56分にはスクラムで押し込みリードを拡大。63分にもスクラムで得たショットチャンスをSO林田拓朗が確実に決めて39-28とし、その2分後には突破したフィフィタからボールをもらったWTB荒川浩二郎が右外を駆け上がり、完全に天理ペースとなった。73分には黒衣のCTB市川敬太が鮮やかに抜けて23点差とし、試合終了間際にもトライを追加しタフな戦いを制した。

日大にプレッシャーをかける早大(撮影:早浪章弘)

 11季ぶりの王座奪還を目指す早稲田大(関東大学対抗戦A 2位)は、花園で日本大(関東大学リーグ戦1部 2位)を57-14と圧倒し、2季連続の準決勝進出となった。

 早大は前半4分、CTB長田智希が鋭角に切り込んでディフェンスを破り先制すると、13分には自陣深くのスクラムから展開し、FB河瀬諒介がビッグゲイン、WTB古賀由教につなぎ独走で追加点を奪った。
 対する日大は34分、自信を持つスクラムで早大パックを圧倒し敵陣深くのラインアウトに移ると、パワフルなモールで一気に押し込み点差を詰めた。
 しかし早大は38分、キャプテンのSH齋藤直人がPGを決め、ハーフタイム前にはCTB吉村紘が巧みなスキルでディフェンダーの間を通してFB河瀬につなぎ、背番号15が走り切り追加点を獲得。24-7で折り返した。

 後半最初に得点したのも早大で、47分(後半7分)、CTB長田がタックラーを外して右サイドを駆け上がり、トライ。55分にはNO8丸尾崇真のビッグゲインから敵陣深くに入り、たたみかけ、SO岸岡智樹からロングパスをもらった左WTB古賀がフィニッシュし、勝利を引き寄せた。
 大差をつけられた日大は71分にトライを奪い返し意地を見せたが、早大は終盤にも着実に加点し、決着がついた。

 1月2日に秩父宮ラグビー場でおこなわれる準決勝の組み合わせは、第1試合が天理大×早稲田大、第2試合が明治大×東海大となった。