ラグビーリパブリック

大学選手権8強入りの筑波大、泥臭いプレースタイルで正月越えを目指す。

2019.12.20

同大戦で密集から球出しをする筑波大のSH杉山主将(撮影:出村謙知)


 ワールドカップ効果というよりは、優美な紺&グレージャージの復活劇を期待して集まったファンが多かったように思う。
 12月15日、新装なった花園ラグビー場で行われた大学選手権3回戦。
 1試合目からの累計とはいえ、公式記録による観客数は7,500人に迫った。
 比較的、観客の多い状況での試合に慣れている関東対抗戦所属だが、今季、筑波大の試合で最も多い人数が駆けつけた関東での試合は、11月4日の帝京大戦で、その数4,000人強。
 その数字から一気に3,000人以上増えた大観衆の中で行われた“Win or Die”マッチ。もちろん、オーディエンスのほとんどが同志社びいきの完全どアウェー。

 重圧ばかりがのしかかってくるような状況だったが、「突出したプレーヤーはいない」(SH杉山優平主将)ことを自認するライトブルーの雑草集団は、春から積み上げてきた自分たちの強みにこだわったスタイルで、試合をコントロールすることに成功した。
 プレッシャーがかかる状況の中、筑波が自分たちを見失わずに試合を進められたのは、「相手よりも速く、動き勝って、全員が泥臭く体を当て込んで、低く刺していく」(嶋崎達也監督)という接点周りでの絶対的な優位性があったから。
 同志社戦で奪った計7本のトライのうち、5本がBK陣によるものだったが、華麗なオープン攻撃というよりは春から力を入れてきた「体を当てる、前に出る」(同監督)プレーで、ブレイクダウンを連続支配しながらテンポよく攻めることができたゆえのBKのトライだった。
「泥臭さがこのチームの色。特に4年生の色」
 愚直に体を張り続けながら、リズム良く速く前に出続ける攻撃過程の中、常にボールキャリア、あるいは密集のすぐ後ろに寄り添いながらアタックの方向性などの指示を出し続けるSH杉山主将は、雑草集団の今年の特徴をそう表現する。

 対抗戦第4代表が3回戦で関西でのアウェー戦を制して、準々決勝で東海大と対戦するプロセスは、昨季22年ぶりに大学日本一に返り咲いたチームと同じ。
「東海大学さんという相手のことよりは、自分たちがいままでやってきたことをベースにして、少しだけ修正して準備したい」(SH杉山主将)
 紫紺のジャージとは、自認するチームカラーが対極にありそうな雑草軍団は、あくまでも自分たちの色にこだわった泥臭いプレースタイルで接点を制し、5年ぶりの正月越え、そしてその先にある初の大学選手権制覇へつながるビクトリーロードを歩み続けるつもりだ。