ラグビーリパブリック

次の大会は? あの試合の裏側は? クボタのW杯戦士、何でも答えます。

2019.12.18

豪華なスピアーズ。左からフォーリー、クロッティ、フェルミューレン、ラブスカフニ(撮影:向 風見也)


 国内トップリーグで昨季7位だったクボタが12月18日、ワールドカップ日本大会へ出た所属選手の会見を都内で開いた。

 南アフリカ出身で30歳のピーター“ラピース”・ラブスカフニは、「クボタの家族、働かれる人たちに誇りを持ってもらえるようなチームにしたい」と実直さをにじませる。

 ワークレートの高い身長189センチ、体重106キロのオープンサイドFLは、テストマッチデビュー前から日本代表のリーダー陣に参加。ワールドカップでは2試合でゲーム主将を務めながら、初の8強入りを果たした。今後の日本代表活動について聞かれれば、あくまで慎重な言い回しを貫いた。

「フェアにお答えさせていただければ、いまはクボタで自分のベストを尽くすと言えます。トップリーグでのシーズンはチャレンジングですが、楽しみにしています。イングランド代表のようなティア1と戦えるのは日本代表にとってグレートな機会だと思います」

 クボタは2016年に南アフリカ出身のフラン・ルディケ ヘッドコーチを招き、今年上半期のカップ戦(各チームとも代表選手を除く編成で挑戦)でも準優勝と着実に進化。豪華陣容で挑む今季は、限られた同時出場がそれぞれ「2、3」となる外国人枠、特別枠の活用が注目される(枠数は7人制日本代表への派遣選手数によって変動あり)。

 ここで「外国人、日本人を問わず若い選手をリードしたい。経験値からスクラムであれラインアウトであれ、何かしらで貢献したいと思っています」とするのは、加入2年目で33歳のドウェイン・フェルミューレンだ。

 今度のワールドカップで3度目の優勝を果たした南アフリカ代表のNO8で、会見で集中した大会関連の質問へは「帰国してジョハネスバーグの空港に到着した時、すごく多くの人が出迎えてくれた。ひとつの国がワールドカップで勝つことの意味がわかった気がします」と応答。「自分の国では政治的にも複雑なことがあるが、国民がともに立ち上がった」「優勝することで1パーセントでも何かを変えられたらと思う」とも続ける。

 決勝トーナメントの常連国とそうでない国の違いについて聞かれれば、「興味深い」としながらこう私見を述べた。

「開催前は8チームくらいに優勝する可能性があった。ただ実際に必要なのは、プランへの遂行力がどれだけあるかです。そして運も関わってくる。何よりもハードワークが必要です」

 ワールドカップを「フラストレーションがたまった」と総括したのは、来日1年目ながら「オハヨウゴザイマス!」と日本語であいさつしたCTBのライアン・クロッティだ。ニュージーランド代表(オールブラックス)の一員として3連覇を期待されたが、準決勝でイングランド代表に敗れて3位に終わっている。

「オールブラックスのテストマッチは常に皆から勝つと予想される。ただ、一度、機会を逃すと勝てない。予想どおりのことが起こらなかったときにプランをしたことができるかという点が、学びにはなったと思います」

 敗れた準決勝では、試合前に儀式のハカを披露する際に相手のイングランド代表が「Vの字」の陣形を作って応対したことが話題になった。当時の心境を問われた31歳のクロッティは、自国におけるハカの意味合いを改めて強調した。

「あの時、イングランドはきっと何かしらのプランを持ってやろうとしたことを遂行したのだと思います。しかしオールブラックスは相手どうこうよりも、自分たちがコネクトするためのものだと捉えてハカをしています」

 2020年1月12日のトップリーグ開幕節の相手は、過去4回優勝のパナソニックだ。

 4人にとってはワールドカップで味方だった選手との対戦もありそうで、フェルミューレンは同じ南アフリカ代表でCTBのダミアン・デアリエンディ とぶつかりそうななか「彼らに勝つには80分フルで戦わないと勝てない。ただし試合が終われば一緒にビールを飲むような仲。開幕戦はすごく楽しみです」。
 かたやクロッティは、自身の職業倫理を述べる。

「トップリーグでプレーできることを興奮していますし、仕事としてラグビーが大好き。とにかく楽しむ」

 対するFLのデーヴィッド・ポーコックとオーストラリア代表同士のバーナード・フォーリーも、「他チームにもよく知った顔がいるので楽しみ。開幕戦が重要なのはわかっています」と応じる。

 ちなみに新加入した30歳のフォーリーは、2015年にリコー入りして以来2度目のトップリーグ参戦。「選手としては前回来日時よりも熟したと思います。前回学んだことをチームマンとして活かし、貢献していきたい」と述べる。

 現在は多くのチームが、司令塔のSOに海外出身者を招へい。将来の日本代表入りを狙う若手の日本人選手にとっては、所属先で出場機会を得ること自体が難しくなりつつある。フォーリーも強豪国でSOを務める1人だが、「SOはユニークなポジションだと思います」としてこう続けた。

「まずはスキルを出し切ること。ラン、キック、ディフェンス……。そのスキルを十分に練習し、ゲームで落ち着きを持って発揮できれば(若手も)ポジションを取れるようになると思います」

 ファンに誇りを持たせる。若手に経験値を伝える。楽しむ。落ち着いてプレーする。言葉にすればシンプルな難しいタスクへ、真剣に取り組んでいる。