ラグビーリパブリック

イングランドの学生の伝統の一戦は、男女ともにケンブリッジ大学に軍配

2019.12.16

8−5の僅差で決戦を制したケンブリッジ(撮影:竹鼻智)

 小雨が降る真冬の寒空の下、イングランドの大学の伝統の一戦、オックスフォード大対ケンブリッジ大の「バーシティーマッチ」が、トゥイッケナム競技場で行われた。22683 人の観衆のもと、男子と女子の試合が行われ、男子が15−0、女子が8−5で、それぞれケ大が勝利した。

 午前中に行われた女子の試合は、試合開始からFWの重量で勝るケ大がスクラム、ブレークダウン周辺を支配する展開に。冷たい雨が降り続ける中、ロースコアな試合展開となった。LOのアリス・エルガーが試合後、「私たちの方が、よりコンディションに合った試合運びをできたと思います」と振り返ったように、FWの接近戦に的を絞ったケ大が僅差の勝負をものにした。

 午後も降り続く雨の中、男子の試合も冷たく濡れたボールの扱いに苦しむ場面が目立った。そんななか、キックを多用し、リスクの高いオフロードパスを極力抑えて手堅い戦術をとったケ大が、盤石の勝利を収めた。因みにケ大学は、同大学のエグゼクティブM B Aコースで学ぶ、豪州代表として62キャップ、主将も努めた34歳のジェームス・ホーウィルがL Oで出場。安定した、力強いプレーを見せた。

 今回で男子は138回目、女子は33回目を迎える、伝統の一戦。過去の戦績は、男子はケ大が64勝、オ大が60勝、14引き分け、女子はケ大が13勝、オ大が20勝。この試合に出場した者は、「ブルー」の称号を得る。

 さらには、一生ブルー限定の会合などに参加できる権利を始め、学生スポーツの大舞台に立ったという記録にその名を残すことにもなる。シーズンを通して一軍の主力として活躍していたとしても、ケガなどのためにバーシティー・マッチのメンバーに入れなければ、ブルーを得ることはできない。一生続くブルー保持者としてのステータスのため、出場選手を決める主将の周りで、選手達が狡猾で政治的な動きをとることもあるという。

 毎年、学生や卒業生たちのあいだで、大きな話題となるこのバーシティー・マッチ。この日の試合の結果も、関係者たちの間では一生語り継がれることになるだろう。