ラグビーリパブリック

地方勢の情熱。九州共立大、初の全国で初勝利ならずも歴史刻む。朝日大は未熟さ反省し3回戦へ。

2019.12.08

突進する朝日大LO山田拓実。止めようとする九州共立大キャプテンのLO竹内柊平(撮影:Hiroaki.UENO)


 第56回全国大学ラグビー選手権大会の2回戦が12月8日、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州でおこなわれ、朝日大(東海・北陸・中国・四国代表)が49-19で九州共立大(九州学生リーグ1部・1位)を下し、3回戦進出を決めた。

 1966年の創部以来、初めて全国大学選手権の舞台に立った九州共立大は、開始から約20分間、敵陣でプレーする時間が長かったが、肝心なところでパスが乱れ、タッチキックのミスもあり、傾きかけた流れを得点に結びつけることができなかった。
「ちょっと硬かったですね」と松本健志監督は振り返る。いつもは積極果敢に密集へ飛び込む選手でさえ、こぼれ球への反応が悪かったという。「イーブンボールを確保できなかったのを見て、緊張しているなと思った。動きが硬いなと」。

 逆に、耐えた朝日大はチャンスで確実に得点を重ねた。サモア出身のWTBティモ・スフィア、FB永野拓也、SO柏谷優次、SH志自岐直人らが好走して4連続トライ。28-0とし主導権を握った。

 しかし、地元の北九州で熱い声援を受けた九州共立大はハーフタイム前に反撃する。38分にモールで押し込みNO8藤井優希が初得点を刻むと、その約3分後にはFB別府将希が抜け出し、つないでWTB高原翔がフィニッシュ。16点差に詰めて折り返した。

九州共立大(緑)は最後まであきらめなかった。朝日大も80分間必死に戦った(撮影:Hiroaki.UENO)

 結局は朝日大が立て直して勝つことになるのだが、吉川充監督は「あそこが我々の未熟なところ」と反省する。「せっかく28点取って、そのまま折り返していたら後半もっといろんなことができたんだろうと思うが、ゲームを振り出しに戻したような感じになってしまった」。
 キャプテンのCTB飛彈野雄輝も、それは自分たちの課題だと自覚していた。「最初は朝日大の流れで入って得点していくが、前半の終わりや後半の最初あたりで変な流れになり、相手のアタックを受けてしまい、なかなかマイボールにできない時間帯が続くときがある。東海リーグのときからそうで、課題として練習でも取り組んでいるが、まだ打開できない部分がある。3回戦へ向け、しっかり修正したい」。ハーフタイムで選手同士がその点を話し合い、後半先にトライを取れたのは彼らの成長だ。

 50分(後半10分)、朝日大はCTB又吉恒太のオフロードからチャンスを作り、CTB飛彈野、FB永野とつないで追加点。その後、九州共立大に1トライを返されたが、68分にはBK・FW一体となったスピーディーな連続攻撃をWTBスフィアがフィニッシュし、75分にはキックパスを途中出場WTBプスパコム・ピーラナツがゴール右隅に押さえ、勝負は決まった。

 「全国の壁をすごく感じた」と、敗れた九州共立大の竹内柊平キャプテン。「朝日大学さんに勝つために万全な準備をしたつもりだが、朝日大学さんはそれよりも1つ2つ上のレベルで、手が届かなかったというのが正直な感想」とチャレンジを振り返る。しかし、これまで11月にシーズンを終えていた彼らは、今年は12月まで竹内キャプテンをはじめとする4年生を中心にまとまり、新たな歴史を刻んだ。初めての全国舞台は、九州共立大にとって未来への大きな一歩だ。

 一方、昨年度は2回戦で福岡工業大に敗れていた朝日大は、雪辱を期して「九州代表を圧倒する」という目標のひとつを達成し、関東、関西の強豪も登場する3回戦へ進む。
「ここからが我々の行きたかった場所なので、しっかり戦いきれるように準備したい」(吉川監督)
 朝日大は12月15日、大阪・東大阪市花園ラグビー場で関西学院大(関西大学Aリーグ・3位)にチャレンジする。