ラグビーリパブリック

立教、来季は5年ぶりに関東大学対抗戦Aの舞台へ。青学はA残留決める。

2019.12.07

喜びの立教大。死闘を制した。(撮影/松本かおり)



 この時期にしては珍しく無風だった熊谷ラグビー場。しかし、熱い風が吹いた。
 12月7日におこなわれた関東大学対抗戦の入替戦。第1試合ではA-7位の青山学院大学(以下、青学大)がB-2位の明治学院大学(以下、明学大)に54-33と勝利してA残留を実現するも、明学大は最後の最後までファイトし続けた。
 そして第2試合ではB-1位の立教大学(以下、立大)がA-8位の成蹊大学を23-21で破り、5年ぶりのA昇格を果たす。ラストプレーでの逆転劇だった。

 第1試合で好スタートを切ったのは明学大だった。キックオフ直後から積極的に攻めてペースをつかみ、敵陣に入り込む。ディフェンスでもよく前に出て、圧力をかけ続けた。
 ただ、思い切って前に出た分、アウトサイドにスペースを作ってしまう。先手を取りたいところで先行を許し、前半18分からの約15分で4トライを許して0-28とリードを許してしまった。
 しかし、黄色いジャージーの心は折れなかった。前半のラスト5分強に2トライを返し、12-28と差を詰めて前半を終えた。

 後半に先手を取れば試合の流れはもつれたかもしれなかったが、ハーフタイム後に先にインゴールへ入ったのは黒いジャージーの青学大だった。自陣から攻めた明学大のミスに乗じてWTB金澤春樹がインゴールに入って追加点を挙げた。直後にも、この試合で大活躍のWTB大村知意がトライを決めるなど攻撃力を発揮し、スコアは一時、28点差まで開いた。
 それでも明学大は前へ出続け、ラストシーンでもPR新谷拓大がトライを奪ってみせた。チームを率いたNO8星知邦主将も、「なかなか入替戦を突破できないでいるが、自分たちのやってきたことを出せたシーンも多かったし、チームの文化ができてきた」と話した。

青学大は攻撃力で上回った。(撮影/松本かおり)


 毎年この舞台で顔を合わせ、必ず死闘となる第2試合の成蹊大×立大は、今年ももつれにもつれる展開となった。
 先手は成蹊大がとった。スクラムで圧力をかけて反則を誘い、PKを敵陣深くへ蹴り込む。そのラインアウトからモールを組んでトライラインに迫ると、LO荒川紘章がインゴールにボールを押し込む。Aで揉まれてきたたくましさを感じさせた。

 ただ、アタックの選択肢は立大の方が多く、前半をリードした。
 前半25分にPGで差を詰めると、同31分にはキックパスを受けたWTB藤原大晃がトライ。藤原はハーフタイム前にもインゴール右隅に飛び込み、13-7として前半を締めくくった。
 後半に入り、FWプレーでしつこく前に出た成蹊大が4分、15分とトライを重ねて逆転して差を広げるも(成蹊大が21-13とリード)、立大は自分たちの力を信じていた。ゲームキャプテンを務めたFB床田聖悟が「トライを取られた時、みんなの目を見て分かった」と証言する。

 後半28分にPGで5点差に詰めた。まだチャンスは巡ってくる。絶対にトライを取れる。逆転できる。そう信じていたからだ。
 残り7分を切ってから、立大は敵陣でプレーし続けた。攻め立てて反則を誘い、PK後のラインアウトからフェーズを重ねる。徹底的にFWで密集サイドを突き、最後はFL金子裕二朗がゴールポスト下に同点トライを決めた。WTB藤原が勝ち越しのゴールキックを決めたところでフルタイムのホイッスル。濃紺のジャージーが拳を突き上げた。

「最後は絶対にFWが取り切ってくれると信じていました」
 床田ゲーム主将が笑顔だった。
「万全の準備をして、学生たちを信じていました」
 西田創ヘッドコーチも感無量の表情だった。
「任せ切れる仲間たち。やってくれると思っていました」と言う津田祥平主将は、この日、ウォーターボーイとしてチームを支え、最後に胴上げされた。
 来季、5年ぶりに対抗戦Aで戦う喜びを全員でわかちあっていた。


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