冷たい雨が降っていた。
11月23日、グラスゴー。翌日にスコットランドとのテストマッチを控えた女子15人制日本代表(サクラフィフティーン)は、キャプテンズランをおこない、全員で戦いのイメージを共有した。
全体練習が終わった後、小柄なFBがゴールキックの練習を繰り返していた。平山愛(自衛隊体育学校)は、11月24日の試合が2キャップ目となる。
11月16日におこなわれたイタリア戦に続いて2戦続けて背番号15を背負う。1週間前の試合は17-17で引き分けた。初キャップの次は初勝利を手にしたい。
7月の豪州遠征ではスコッド入りを果たし、ツアーに参加するも2つのテストマッチに出番はなかった。
辛い記憶も、「その経験があってのいま」と言える。「経験が足りない」と指摘されたから、できる限りのことをやってきた。
他の選手や自分のプレーの映像を見たり、男子一流選手のものも参考にしてFBの動きを学んだ。W杯にも出場したスコットランドの天才、スチュアート・ホッグのプレーも頭の中にある。
桐生商業高校(群馬)時代はバスケットボール部。専門学校を経て、20歳で自衛隊に入隊した。練馬駐屯地では第一普通科連隊に所属。人で動かせるいちばん大きい大砲を扱っていた。
ラグビーに出会ったのは21歳の時だ。体力検定の成績上位者として、強化が始まった自衛隊女子ラグビーへの参加を要請された。
普段はセブンズでの活動がほとんども、SHでプレーするときにはスイーパーとして後方エリアの防御を任せられるからFBの感覚は分かっている。
キックも得意だ。サッカーをプレーしていた兄の影響もあるが、以前、自チームのキッカーを怪我させた責任感から猛練習をして自身の形を作り上げた。
イタリア戦ではコンバージョンキックの成功は3本中1本。「どんな位置であろうと、もっと決めないといけない」と矢印を自分に向ける。
SO山本実(MIE PEARLS)との間で、「調子のいい方が蹴る」と話しているが、自分がファーストキッカーの自覚を持ってスコットランド戦に挑む。
初テストには「いい精神状態で臨めた」と振り返る。「自分を高めさせてくれた周りのライバルや、お世話になった方々のおかげで、いま、ここにいることができています。出し切るだけ」と語る2回目のテストマッチでは絶対に勝つ。
「日本を背負って勝つために(ヨーロッパに)来ました」と話す平山は、「チームに勢いをつけるプレーをしたい」と誓った。
◆試合の模様は下記でライブ配信予定
https://www.youtube.com/watch?v=sZQvNqOMv5g
*スコットランド時間/11月24日 13:00
*日本時間/同日 22:00
●サクラフィフティーン スコットランド戦メンバー
1 加藤幸子
2 藤本麻依子
3 南早紀
4 櫻井綾乃
5 佐藤優奈
6 齊藤聖奈
7 細川恭子
8 高野眞希
9 津久井萌
10山本実
11葛西杏奈
12小林花奈子
13鈴木彩香
14谷口令子
15平山愛
16江渕まこと
17小鍛冶歩
18小西想羅
19玉井希絵
20鈴木実沙紀
21大塚朱紗
22古田真菜
23阿部恵