ラグビーリパブリック

早慶戦は、ワセダがロースコアの戦い凌ぐ

2019.11.23

早大のアタックは地道で理詰め。BKがボールを受ける一瞬前の動きで、ここぞのチャンスを作った。(撮影:髙塩 隆)


17-10。11月23日、秩父宮ラグビー場で行われた第96回早慶戦は、早稲田が1トライ1ゴール差で慶應を退け、対抗戦全勝を守った。慶應は4敗となり、大学選手権出場が極めて難しくなった。

「崩れたのは、自分たちのミスから」(早大・齋藤直人主将)

 早稲田は4分、16分と着実にトライを奪いながら、それ以降は苦しい展開が続き、前半10-10の接戦に巻き込まれた。その理由についてキャプテンが振り返る。

「ロングキックの処理などでミスがあり、自陣に踏み込まれてしまった。慶應のファーストトライも、これまで見たことのない動きからのもので、やられてしまった」

 前夜からの雨と、風。ハンドリングミスに、ラインアウトのスローイングの難しさも手伝って、互いにボールが落ち着かない時間が続いた。

 決勝点となったのは後半10分のBK展開。それまでハイパントの応酬となっていた中盤を、パスとランで攻め崩した。右サイドを崩したCTB中西亮太朗からSO岸岡智樹へ、ラストパスがわたって右隅へ。G決まって17-10とした。

 勝った早稲田の相良南海夫監督は試合前の意識について、「(早慶戦に)勝っているとはいえ、ずっと僅差の試合ばかり。手負いの虎は怖い、と選手たちと話してきた。ただ、それを意識しすぎたかもしれない」と振り返る。

 慶應はディフェンスで意地を見せた。体格差のある相手にも果敢にロータックルに入り早大の足を救いにかかった。7点差を追う後半15分からの時間帯など、攻勢の場面も作ったが、早大の守備もまた固く、反則やミスなどでスコアはならなかった。

今年、関東大学対抗戦からの全国大学選手権出場枠は4。慶應はまだ帝京戦を残しているが、すでに4敗しており、22シーズンぶりに、大学選手権に出場できない可能性が高くなった。