東京オリンピックの7人制ラグビー競技(セブンズ)に出場する国(男女各12チーム出場)が世界中で次々に決まるなか、地域予選の最終大会となる男子アジア最終予選が11月23~24日、韓国・仁川市で開催される。
9か国・地域が参加。初日は3プールに分かれて各総当たり戦を実施し、各プールの1位、2位と、3位チームのうちの上位2チームが翌日の決勝トーナメントに進む。
プールAに香港、マレーシア、チャイニーズタイペイ(台湾)。Bは中国、フィリピン、シンガポール。Cに開催国の韓国、スリランカ、アフガニスタンだ。
このなかで優勝したチームが東京オリンピックの出場権を獲得し、2位、3位は来年6月に実施予定の世界最終予選(敗者復活戦)に進む。
今年8月から9月におこなわれたアジアセブンズシリーズ(3大会)から展望する。
優勝最右翼は香港。そこに中国、韓国、スリランカがからむ展開か。
プールAの香港、Bの中国は1位通過が確実視されている。
今年のアジアセブンズシリーズは、日本が第1ラウンドの韓国大会と第3ラウンドのスリランカ大会を制した。日本は、いずれも決勝で香港を21-12、17-12で下している。
日本が唯一、優勝を逃したのは第2ラウンドの中国大会で、開催国の中国が準決勝で日本に14-7と競り勝ち、決勝は香港がその中国を14-7で破り優勝した。
2強と見られている香港と中国のアジアセブンズシリーズでの直接対決を振り返ると、韓国大会は準決勝で対戦し、香港が21-7で勝利。中国大会はまずプール戦で激突し、香港が19-7で競り勝ち、決勝も香港が14-7で制している。そして最後のスリランカ大会も、準決勝で対戦し香港が24-19で勝利という結果だった。点差は均衡しているが、今季4戦全勝している香港の優位はゆるぎない。
自由を求める香港市民、学生の運動が活発化しているなかで、第三国での決戦となる。女子のアジア最終予選(11月9~10日/中国・広州で開催)は決勝で同じ顔合わせとなり、中国が33-0と香港を圧倒して初のオリンピック切符を勝ち取った。
韓国は、アジアセブンズシリーズの韓国大会で4位、中国大会5位。そしてスリランカ大会は、韓国ナンバー1を決める全国体育大会が10月初旬に控えていたため代表選手は所属チーム優先で、メンバーを落として参加し、結果は最下位の8位だった。
韓国は今季、香港、中国相手に全敗している。韓国大会ではプール戦で香港に12-29で敗れ、3位決定戦では中国に19-24。中国大会は、プール戦で日本に0-38で大敗し、スリランカにも5-28と敗戦、下位トーナメントにまわり5位だった。スリランカ大会は、スリランカに10-24、香港に0-45と一蹴されている。
アジアチャンピオンシップ以降、15人制、7人制兼務で率いる韓国代表の徐天吾(ソ・チョンオ)監督は「主力の韓建圭(韓国電力)らケガ人がまだ戻っていない」と最初の韓国大会で嘆いていた。東京オリンピック出場をかけたアジア最終予選へ向けては、梁永勲コーチ(ヤン・ヨンフン、元ホンダSH)や、臨時で流通経済大の“知恵袋”チャールズ・ロウ氏が加わり指導してきた。
最終予選の韓国代表メンバー12人が発表され、ベテランの朴ワンヨン(韓国電力)が主将を担当する。日本チーム所属の鄭演植(チョン・ヨンシク/日野)、張容興(チャン・ヨンフン/NTTコム)の韋駄天コンビも選出。闘将、韓建圭(ハン・ゴンギュ/韓国電力)がケガから復帰した。韓国電力所属では前7人制代表主将の金ヒョンス、金ナンウク、李ソンベ、張ジョンミンが名を連ねた。また、過去に日本でプレーし、今季国内大会でポスコ建設の優勝に貢献した金原用(キム・ウォンヨン/元日野)、張成民(チャン・ソンミン/元NTTドコモ)もメンバー入りし、他にアンドレ(KRU)、パン・ジュンヨン(KRU)が選ばれている。
スリランカは中国大会でベスト4入りしたが準決勝で香港に0-55、3位決定戦で日本に0-40とゼロ封負け。地元スリランカ大会でもプール戦で香港に0-34、準決勝で日本に0-45、3位決定戦で中国に12-27と分が悪い。
アジア最終予選の準々決勝の組み合わせは、A1位×全体の8位通過チーム、B1位×プール戦3位ベストチーム(全体7位)、C1位×A2位、C2位×B2位となる。
東京オリンピックの男子7人制ラグビーは、これまでに10か国が出場権を得ている。日本は開催国枠。ワールドラグビーセブンズシリーズ2018-2019のトップ4だったフィジー、アメリカ、ニュージーランド、南アフリカも早々と出場を決め、各地域予選を通じてアルゼンチン(南米)、カナダ(北米)、イギリス(欧州)、オーストラリア(オセアニア)、ケニア(アフリカ)も切符をつかんでいる。