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充実の日大、22年ぶり2位へ前進。リーグ勝ち越し飾る最多13トライ

2019.11.18

日大FW陣と密集を抜け出すNO8シオネ・ハラシリ



 充実ぶりが表れた圧勝だった。
 
 11月17日、埼玉・セナリオハウスフィールド三郷での関東リーグ戦。今季好調の日大は中大を83−5と寄せ付けず、4勝1敗として7年ぶりの勝ち越しを決めた。
 リーグ戦では既に東海大の2連覇が確定。日大は残り2試合で1勝すれば1997年以来22年ぶりの2位が決まる。6シーズンぶりの大学選手権出場も近い。

 今月3日の東海大との全勝対決は7−50で完敗。建て直しを強いられたが、その成功を示すように今季最多13トライを奪った。
「強気でいくと決めていた。東海大に負けてチームの雰囲気が落ちたので、その分をぶつけようと」
 
 そう話したのは3トライを決めたWTB高野謙人だ。
 初先発だった王者との一戦は何もできずに終わったが、その苦い記憶を引きずらずにこの日の圧勝劇の立役者になった。

 17−0で迎えた前半28分。敵陣深くライン際でキックパスを受け取ると一人をかわしてインゴールへ。
 その直後のキックオフからFWらがビッグゲインした好機を逃さず、こぼれ球を拾い上げて個人技で抜け出した。ディフェンスの手が首にかかってグラウンディングはできなかったが、認定トライをもぎとった。

 静岡聖光学院高出身の2年生。夏合宿で急成長してトップチーム入りした。
「スペースが見えて、何度も抜けることができてチャンスをもらえた。自分の持ち味は遠慮せずにガツガツいくこと。外勝負しても倒れずに立っている」
 チームから「秘密兵器」と称されるフィニッシャーは静かな口調に自信をみなぎらせる。

 自慢のスピードに加え、入学時から10キロの増量に成功。180センチ、90キロの体格に粘り腰も手に入れた。今は負傷中のエース杉本悠馬の代役という位置付けだが、「憧れの存在」という4年生とのポジション争いに名乗りを挙げた。

 高野をはじめ、伸び盛りの下級生の存在がチームを勢い付かせた。
 メンバー23人のうち15人の下級生だけで10トライ。その実力は確かだ。

 1年生では、初先発のCTB広瀬龍二(日川高)が1トライとキッカーも務めて21得点。同じく先発したFB普久原琉(コザ高)も鮮やかなランで何度もチャンスを演出し、トライも決めた。バックスもこなすFL水間夢翔(佐賀工高)は後半から入って快走しインゴール中央へ飛び込んだ。

 若いチームをコントロールするのは4年生SO吉田橋蔵。この日は得意のキックパスや裏へのキックを駆使したゲームメークで貢献し、自身初というマンオブザマッチに輝いた。
「下級生も多いが、みんなレベルが高い。もっと外に展開してバックスでも仕留めたい。チームとしてトライを取りにいきたい」

 その司令塔が「常に相手と互角以上でやってくれる」と大きな信頼を寄せるのが日大の看板でもあるFW陣だ。
 この日も試合中に微調整しながら、スクラムやセットプレーで圧倒した。
 PR坂本駿介主将を中心にシーズン中でも週に2回、午前5時過ぎからスクラムなどの早朝練習も敢行してビルドアップを怠らない。
 鍛え抜いた土台の上に勢いのある新戦力が加わり、昨季5位から今季の躍進に繋がっている。
 
 中野克己監督は就任4年目。「勝ちたいという欲が出てきている」と選手の意識の変化に手応えを感じている。
「点差がついて雑になってしまったところもあった。もっと精度を上げ、地に足をつけたプレーをしないといけない。入れ替え戦を回避したいという戦いの厳しさや怖さを今の子たちは知らない」と監督は話す。

 残るは専大、拓大との2戦。
 一筋縄ではいかない相手を破るためにさらにチームを引き締め、2013年以来の全国の舞台への扉を開くつもりだ。

日大2年生WTB高野謙人。何度も快走を見せた


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