ラグビーリパブリック

いちばんの3番になる。明大・笹川大五、「日本一のスクラムで日本一に」

2019.11.12

両耳ともギョーザ。「大学1年の時のタックル練習で両耳ともこうなってしまいました」。(撮影/松本かおり)



 紫紺の3番。
 この国の大学ラグビー界において、もっとも明確な使命を託された男が背負うポジションだ。

 スクラムで圧倒せよ。
 11月10日に秩父宮ラグビー場でおこなわれた明大×慶大。40-3と紫紺のジャージーが大勝した試合で、明大の右PR、笹川大五(ささがわ・だいご)は期待通りの働きをした。

 8人でまとまり、何度もグイッと押した。その先頭に立ち、チームに勢いを与えた。
 それでも満足はしていない。
「自分の方からいけそう(3番側から前へ出られそう)な感覚はありました。ただ、崩れたシーンもあったし、思うように前に出られなかったところもありました」
 2年連続の大学日本一へ向けて、道がどんどん険しくなるのは分かっている。
 だから、上を見続ける。

 チームのスクラムは、秋の深まりとともに結束を強くしている。
「夏、あまりうまくいかない時期がありました。そのとき、こだわっている高さを再確認し、全員で低く、まとまって組むことを再確認しました。組み込んで修正できた」
 最上級生となり、スクラムの柱としての自覚も高まっている。

 ラグビー人生のほとんどをPRとして過ごしている。
 明大中野、明治学院大でPR/LOとしてプレーした剛(たけし)さんの影響もあり、小学4年生の時、杉並少年ラグビースクールでラグビーを始めた。
 中学時は練馬ラグビースクールでプレーを続ける。父と同じ明大中野高校へ進学、高校日本代表候補に選ばれるも、花園出場の夢は叶わなかった。

 精鋭が集う明大に入学し、Aチームで活躍できるようになったのは昨季からだ。「先輩たちに教わったことが大きい」と振り返る。
 大学選手権の東海大戦(準々決勝)にも出場し、負けたら終わりの舞台も踏んだ。その経験をラストイヤーに活かす。

 186センチ、112キロと立派な体躯を誇るも、「自分が、自分が」と勝手な組み方はしない。トイメンの相手1番を外へ弾き出すこともある。しかし「8人で組む」基本の大切さは、ワールドカップを見ていても感じたことだ。
「ジャパンは凄かったですね。スクラムが良ければ、試合展開も良くなる。そう思いました」
 明大にはパワーのある選手が揃うが、「そういう集団がしっかりまとまって組むといちばん強い」と理解する。 

 スクラムで隣り合わせとなるHOの武井日向(ひなた)主将とは普段から仲が良く、なんでも言い合える仲。互いに信頼しあっているだけに、「日向はチームをまとめる力を十分に持っているけど、そのサポートもしたい」と話す。
「日本一のスクラムを組んで、今年も日本一に」
 そのためにも、大学ナンバーワンの3番を目指して進化を続ける。


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