2015年の自国開催ラグビーワールドカップで初のプールステージ敗退という屈辱を味わったイングランド代表。そのチームを再建し、2019年の日本大会では3連覇を狙っていたニュージーランド代表を破るなどして決勝に導いたエディー・ジョーンズ ヘッドコーチだが、優勝には一歩届かなかった。11月2日に横浜国際総合競技場でおこなわれたファイナルは、南アフリカ代表に12-32と完敗した。
「残念なことに、試合に入るのに苦しんだ。チャンスがあった時もそれをものにしなかった。選手の頑張りはすばらしかったが、今日は優勢に試合を進められなかった。しかし、この大会全体を通しハードワークしてきた選手を責めることはできない。彼らはたくさんの誇りと情熱とともにプレーしたと思う。今日は単純に力が足りなかったし、傑出したパフォーマンスを見せた南アフリカにおめでとうと言いたい。南アフリカは強かった。彼らが勝者にふさわしい」
いい準備ができたと、自信を持って決勝に臨んだ。しかし、スクラムで圧倒され、相手の堅守に苦しみ、必死に食らいついたが、チャンスをつかみかけてもものにできず、流れを変えることができなかった。なぜ試合はうまくいかなかったのか、わからないと指揮官は言う。
「試合について詳細な報告を作っても、何が間違っていたのかわからないこともある。ラグビーではそういうことが時に起こる。いい日ではなかったということ」
そう語るジョーンズ ヘッドコーチだが、選手を責めることはない。彼らをどれだけリスペクトしているか言い尽くせないと言った。
「とても落胆しているが、同時に選手がしたことにすごく感嘆している。彼らはこのワールドカップに向けてものすごくよく準備したと思うし、たくさんのプライドと情熱を持ってプレーした。選手の努力を疑うことはできない。彼らは並外れていた。どれだけハードワークしてきたか。今日は力が足りなかったが、努力が足りなかったからではない」
自身の去就など、今後のことについては、いまは考えたくなさそうだった。
「今、気になっているのは何杯かビールを飲むことだけだ。ビールを飲んでリラックスしたい。今日何杯か飲んで、おそらく明日も飲むだろう。そしておそらく月曜日も」
かつて日本代表を指揮し、4年前のワールドカップでは桜のジャージーの男たちに誇りをもたらした名将は、いまも日本で人気だ。縁が深いこの国でワールドカップ優勝というサクセスストーリーは完結できなかったが、それでも、すばらしい大会だったと振り返る。
「日本はすばらしいワールドカップを開催してくれた。観客も多く、ピッチもすばらしく、大会組織もファーストクラスだった。競ったすばらしい試合もあり、レフリーもすばらしかった。日本はラグビーと国民のために成し遂げたことを大いに誇りに思うべきだ。ラグビーはこの大会を通して成長した。新たなラグビーの強国が生まれ、日本はその影響をアジアに及ぼすと思う。我々の目標は世界一のチームになることだったが、達成はできず世界で2番目のチームになった。それでも銀メダルだし、選手を誇りに思う」