ラグビーリパブリック

ファフ・デクラークの冷静さと情熱。「小さな子どもたちに勇気を与えうる」

2019.11.02

大一番へ向け最高の準備を整えた南アフリカのファフ・デクラーク(Photo: Getty Images)


 この国でラグビーが注目された証だ。ラグビーワールドカップ日本大会で日本代表を苦しめた強豪国の主力が、一般層にも知れ渡っている。ハロウィンの日に金髪のかつらをかぶった男性が、テレビのワイドショーのカメラに捕まっていた。

 話題の主は、28歳のファフ・デクラーク。大型選手ぞろいの南アフリカ代表にあって、身長172センチ、体重88キロと一見すれば小柄なSHだ。10月20日の準々決勝では、スペースを埋める防御と果敢なタックル、ミスマッチを突くランなどで日本代表を苦しめる。26-3で勝利し、当日のプレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた(東京スタジアム)。

 2018年3月に就任したラシー・エラスマス監督率いる現チームを、「その頃よりキックを蹴り、それがよりチームにいい影響を与えられるようになったとは思います」と見るデクラークは、11月2日、横浜国際総合競技場での決勝戦でイングランド代表に挑む。

「走り回るだけではなく、防御で人数が足りているかどうかの確認も任されています。ディフェンスではタックル技術の向上できていて、それを試合でできています。ゲームをどう分析し、それにどう対応するかも重要。対策を練って試合に挑みたい。自分たちのラグビーが小さな子どもたちに勇気を与えうると自覚しています」

 スクラムの際は、左手の人差し指で楕円球をくるくると回転させる。「右ではうまくできないんです。ラグビーボールは左。バスケットボールなら右でもできます」と笑う。落ち着いていて、情熱的である。

「常に冷静でいることを重点に置きます。自分は実際のゲームを想定して、落ち着てやるよう心掛ける。一方で、コンタクトは全力で行かないと負けてしまう。メンタルの切り替えが求められます」

 チームを2007年のフランス大会以来3度目の優勝に導けるか。クールに全体を見渡し、勝負どころでは闘争心をむき出しにする。

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