ラグビーリパブリック

日本代表・中村亮土、磨き上げた防御で8強入り。

2019.10.25

ワールドカップの舞台で日本代表の12番として奮闘した中村亮土(Photo: Getty Images)


 身長178センチ、体重92キロ。国際レベルでは決して大柄ではないその身体つきで、巨漢戦士へ果敢に刺さってきた。

 28歳の中村亮土は、ラグビー日本代表のインサイドCTBとしてワールドカップ日本大会で準々決勝までの全5試合に先発。特にアイルランド代表を19-12で倒した9月28日のプールA第2戦では、チーム内のBKで最多の11本のタックルを放つ(静岡・エコパスタジアム)。

 相手をなぎ倒すだけでなく、その後の素早い起立や的確に穴を埋める位置取りなど生来の持ち味も発揮。守りの人には、こんな自覚があった。

「(防御は)僕の生きる道じゃないけど、ここに残って世界と戦うために、ごく普通の選手がどう生き残るかというために磨いたもので…」

 2016年秋に発足したジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ体制のジャパンへは、2017年から参加。当初は前回のワールドカップを経験した立川理道や、ラファエレ ティモシー、ウィリアム・トゥポウといった海外出身者との争いを強いられ、2018年に加わった兄弟チームのサンウルブズでもマイケル・リトルら強豪国の戦士と競い合っている。

 ここで磨いたのが、防御にまつわる詳細だった。実戦で成功体験を重ね、大舞台で躍動したのだ。

「サンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビー)、これまで経験させてもらったテストマッチで、(防御を)強みとしてはっきり自信を持てた。ここを伸ばして世界と戦うという、明確なものができたと思います」

 常に防御をはじめとした、「チームから求められていることを徹底的にやり切ること」に傾注。大会前には目標を「結果としてはベスト8以上」とし、「それをすることによって、いまいる子どもたち、いまラグビーにあまり興味のない人たちに興味を持ってもらって、今後20~30年、日本のなかでのラグビーがより価値の高いものになっていけばと願うばかりです」とも続けていた。

「でも、僕らのやれることはグラウンドでのパフォーマンスだけ。そこでいろんな方に勇気を与えられて、支えてきてもらった分の恩返しができる。強い思いを持ってやっていきたい」

 防御の破られた箇所へ必死に戻ってタックルしては、「気合いです。チームにどれだけの思いがあるか、どれだけのものを背負っているか、です」。結局、チームの仲間とともに有言実行を果たした。

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