ラグビーリパブリック

準決勝で世界注目の楕円球大国対決! イングランド×NZ、最高にワンダフルなゲームへ

2019.10.25

イングランドのオーウェン・ファレル主将(左)とNZのキアラン・リード主将(Photo: Getty Images)


 黒衣にシルバーファーンを輝かせ前人未到のワールドカップ3連覇を狙う最強スター軍団、オールブラックスか。それとも、16年ぶり2度目の王座奪還へ燃え白地に赤いバラを誇る男たち、イングランド代表か。
 ラグビーワールドカップ2019日本大会は準決勝を迎え、世界中が注目するビッグゲーム、ニュージーランド代表×イングランド代表の試合が10月26日に横浜国際総合競技場でおこなわれる。世界ランキング1位と2位の最高ヘビー級バトルだ。「事実上の決勝戦」と見る人もいる。

 初対戦から100年以上続く歴史において、通算戦績はニュージーランドが33勝7敗1分と大きく勝ち越し、ワールドカップでの対戦も過去3試合(1991年大会:プール戦、1995年大会:準決勝、1999年大会:プール戦)すべて黒衣の男たちが笑っている。イングランドがオールブラックスを倒したのは2012年12月が最後だが、この4年間、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ率いる現体制となってからは、昨年11月にトゥイッケナムで一度激突しただけで、ここでもニュージーランドが勝ったものの16-15と接戦だった。

 しかし2017年、4年に一度結成されるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズのメンバーとしてニュージーランドに遠征し、オールブラックス相手に1勝1敗1分と互角にわたりあい自信をつけたイングランド代表のメンバーは多い。

打倒オールブラックスを狙うイングランドのエディー・ジョーンズHC(Photo: Getty Images)

 そんな選手たちの経験を生かし、長い時間をかけて準備をしてきたというイングランドのエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は、オールブラックスとの準決勝に自信を持って臨む。
「ニュージーランドは常にゲーム展開を変えようとする傾向があり、試合が始まってすぐにそれをつかむのは我々のチーム次第だ。我々ができるのは、クリエイティブな練習をし、いろんな状況を想定してそれに対応するよう選手を指導することだけ。ニュージーランド戦でひとつ言えることは、終始、いつも機会をうかがっている相手の動きを意識しながらプレーしないといけないということだが、我々はそれに対応できる準備ができている。この2年半、ニュージーランド戦に備えてゲームの仕方をつくりあげてきた。だから今週の試合に向け、新しく持ち込んでくることは多くない」

 準決勝を控えた今週、イングランドのジョーンズHCが「練習を盗撮されている」と話し“スパイ騒動”が起きたが、心理戦を仕掛けたのかと問われた本人は、「ニュージーランドがスパイをしているという主張をしたことは一度もないと思う。だが、誰かが我々の方を注視しているのを見たのは確かだ。オーウェン・ファレルの写真を撮りたかったのかもしれないね」とけむに巻き、余裕を見せる。

過去2回のW杯優勝に関わり、指揮官として連覇に挑むNZのスティーヴ・ハンセンHC(Photo: Getty Images)

 これに対しオールブラックスのスティーヴ・ハンセンHCは、「彼は(スパイは)我々だとは言っていない。他の誰かだろうと言っているし、たぶん、我々がそこに(トレーニンググラウンド)いた時にもビデオを回していた者だろう」と気にしている様子はない。相手は腹の探り合いをしていると思うかと訊かれ、「もしそれを本気にしたらそれこそマインドゲームになってしまうし、我々はそんなことはしない。ただ笑って受け流している。『調子はどうだい、スティーヴ』というメールを読んで『調子はいいよ、サンキュー、エディー』と返す。そんなところだ」と語った。

準決勝は13番でプレーするイングランドのパワフルCTBマヌー・トゥイランギ(Photo: Getty Images)
フランカーのポジションでスクラム練習をするNZのスコット・バレット(Photo: Getty Images)

 イングランドが準々決勝からバックラインを少し変え、ジョージ・フォードをSOで先発させる一方、ニュージーランドは、本来LOであるスコット・バレットを3列で起用する。身長197センチ、体重118キロのバレットに背番号6を与えた理由についてハンセンHCは「詳しく話すのはやめておこう。エディーが情報を得て素早く対処してしまうといけないから。調子の良し悪しではなく戦術的であることは間違いない」と話すにとどめた。
 両軍の指揮官に共通しているのは、80分間の試合を、ベンチ入りする8人を含めて23人でいかに戦うかということだ。

 イングランドのジョーンズHCはこう豪語した。
「ニュージーランド戦ではやらないといけないある種のゲーム展開がある。もちろん、それを我々の戦術に組み込もうと努力してきた。準決勝の準備はできたという自信がある」

 ニュージーランドのハンセンHCも望むところだ。
「ゲームの持つ重み通りの良い試合となるように願おう。世界中のラグビーを愛する人たちや、『ワオ、なんてワンダフルなゲーム』と言ってくれるかもしれない初めてラグビーを観る人たちへの素晴らしいメッセージとなるようなゲームになったらいい」

<RWC2019 準決勝 イングランド代表 試合登録メンバー>

1.マコ・ヴニポラ  2.ジェイミー・ジョージ  3.カイル・シンクラー  4.マロ・イトジェ  5.コートニー・ロウズ  6.トム・カリー  7.サム・アンダーヒル  8.ビリー・ヴニポラ  9.ベン・ヤングズ  10.ジョージ・フォード  11.ジョニー・メイ  12.オーウェン・ファレル(主将)  13.マヌー・トゥイランギ  14.アンソニー・ワトソン  15.エリオット・デイリー

〔リザーブ〕
16.ルーク・カウワンディッキー  17.ジョー・マーラー  18.ダン・コール  19.ジョージ・クルース  20.マーク・ウィルソン  21.ウィリー・ヘインツ  22.ヘンリー・スレイド  23.ジョナサン・ジョセフ


<RWC2019 準決勝 ニュージーランド代表 試合登録メンバー>

1.ジョー・ムーディー  2.コーディー・テイラー  3.ネポ・ラウララ  4.ブロディー・レタリック  5.サム・ホワイトロック  6.スコット・バレット  7.アーディー・サヴェア  8.キアラン・リード(主将)  9.アーロン・スミス  10.リッチー・モウンガ  11.ジョージ・ブリッジ  12.アントン・レーナートブラウン  13.ジャック・グッドヒュー  14.セヴ・リース  15.ボーデン・バレット

〔リザーブ〕
16.デイン・コールズ  17.オファ・トゥウンガファシ 18.アンガス・タアヴァオ  19.パトリック・トゥイプロトゥ  20.サム・ケイン  21. TJ・ペレナラ  22.ソニービル・ウィリアムズ  23.ジョーディー・バレット

Exit mobile version