「どのチームにもプレッシャーがある。20チームで始まった今大会は4チームしか残っていない。今週はラグビー界で最もエキサイティングな週のひとつになる」
ニュージーランド代表との準決勝を控え、エディー・ジョーンズはそう言った。ワールドカップを最もよく知り、成功を収めてきた知将である。
2003年大会で母国オーストラリア代表を率いて準優勝。2007年大会は南アフリカ代表のテクニカルアドバイザーを務めて優勝に貢献した。2012年からは日本代表を鍛え、2015年大会では南ア代表から金星を奪うなどジャパンを歴史的3勝に導き、世界屈指の名将と呼ばれた。そして、2019年大会ではイングランド代表の指揮を執る。前回大会で自国開催ながらプールステージ敗退の屈辱を味わったチームを立て直し、縁のある日本で優勝トロフィー“ウェブ・エリス・カップ”を狙う。
ニュージーランド代表との大一番へ向け、イングランド代表のジョーンズ ヘッドコーチはバックラインを変えてきた。準々決勝ではベンチスタートだったジョージ・フォードに10番を任せ、主将のオーウェン・ファレルはSOからインサイドCTBへ、マヌー・トゥイランギはアウトサイドCTBに移動して13番をつける。
フォードをSOで先発させる理由について指揮官は、「試合ごとに(チームの)コンディションや相手のこと、何をすることが必要で相手から何を奪うかといったことを検討しなければならず、選んだメンバーが一番いいということ。(タックルやターンオーバーなどの)ワークレートが大事になる。ニュージーランドと対戦する時は、ボールから離れている場面でのプレーが非常に大切になってくる。ニュージーランドはボール回しなどがとてもうまいから、ボールから離れて動くワークレートがジョージの場合はものすごくいい(というのが理由だ)」とコメントした。
フォード本人は「ワールドカップの準決勝なので、どちらのチームにもかなりプレッシャーが掛かっていると思う。でも、今どこか他の場所にいていいわけがない。ニュージーランドとのワールドカップの準決勝なのだから、ここ以外にいるべき場所なんてない」と意気込む。「これで奮い立たなければ、プレッシャーを受け入れなければどうしようもない。わずかな差で勝敗が決まってしまうゲームになるだろうけど、だからこそエキサイティングなんだ。もちろんプレッシャーはあるが、そのプレッシャーを楽しんでいる」と語った。
FW陣も闘志を燃やす。イングランド代表として50キャップ目となるNO8ビリー・ヴニポラは、同じ8番をつける相手チームの主将キアラン・リードについて「数多くの称賛の声が上がっているし、自分の見方もそれらの声と同じ。彼の戦績を見ればおのずとわかること。NO8の誰もが彼の名前を聞いて育ってきているし、自分もその中のひとり」と敬意を表しながらも、「今週末はいかに自分がチームを助けることができるかにかかっているし、われわれのバトルが多少なりとも勝負の行方を左右するだろう」と気合十分だ。
スクラム対決もキーポイントのひとつであり、ビリーの兄であるPRのマコ・ヴニポラは、「フォワード陣にとって試合のトーンを決めるもの。自分たちは世界一のフォワードパックでありたいし、ニュージーランドは世界のベストチームだが、すべての出発点は最前線(フォワード)にある。どのような結果になるか幻想は抱いていないが、チャレンジすることに気持ちがずっと奮い立っている。とてもタフだと思うけど、最初のスクラムが(試合の)トーンを決める。大変なビッグバトルになるだろう。試合を楽しみにしている」と語った。
<RWC2019 (準々決勝: vs NZ) イングランド代表 試合登録メンバー>
1.マコ・ヴニポラ 2.ジェイミー・ジョージ 3.カイル・シンクラー 4.マロ・イトジェ 5.コートニー・ロウズ 6.トム・カリー 7.サム・アンダーヒル 8.ビリー・ヴニポラ 9.ベン・ヤングズ 10.ジョージ・フォード 11.ジョニー・メイ 12.オーウェン・ファレル(主将) 13.マヌー・トゥイランギ 14.アンソニー・ワトソン 15.エリオット・デイリー
〔リザーブ〕
16.ルーク・カウワンディッキー 17.ジョー・マーラー 18.ダン・コール 19.ジョージ・クルース 20.マーク・ウィルソン 21.ウィリー・ヘインツ 22.ヘンリー・スレイド 23.ジョナサン・ジョセフ