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W杯日本大会の裏で内田啓介NZで輝く タスマン快進撃に貢献し歴史変える決勝へ

2019.10.23

オークランドとの準決勝に途中出場した内田啓介(中央左)。終盤の大事な時間帯に活躍(Photo: Getty Images)


 ラグビーワールドカップ2019の日本代表スコッドには選ばれなかったが、桜のエンブレムをつけたブレイブブロッサムズが日本中を熱狂させていた頃、27歳の内田啓介はラグビー王国のニュージーランドで奮闘していた。そして今週末、同国最高峰の栄冠に輝くかもしれない。

 日本代表として22キャップを持ち、スーパーラグビー日本チームのサンウルブズで23試合出場の経験があるスクラムハーフの内田は、ワールドカップ日本代表候補のひとりだったがレースから外れ、所属するパナソニック ワイルドナイツがオフシーズンとなった8月、ニュージーランド地方代表選手権大会(マイター10カップ)の1部リーグに属するタスマン・マコに加入した。

 8月24日のマナワツ戦でデビュー以来、8試合に出場。9月21日のワイカト戦は背番号9をつけて先発するなど、1部リーグのプレミアシップ・ディビジョンを10戦全勝1位通過に貢献した。そして、先週末の10月19日におこなわれたプレーオフ準決勝では、前年のチャンピオンであるオークランドと対戦し、ベンチスタートだった内田は6-6で迎えた後半24分から出場。その5分後にはクイックリサイクルからLOクインテン・ストレンジの勝ち越しトライを生み出し、4点リードで迎えた終盤にもテンポのいい配球からチームのスピーディーなアタックを完成させ、18-9の勝利に貢献した。

 マールボロ協会とネルソンベイ協会の合併により2006年に誕生したタスマン・マコは、直近の過去5年間で3度決勝に進んでいるが、まだ優勝したことはない。4度目のファイナルとなる10月26日の決勝でウェリントン(レギュラーシーズン2位)を倒せば、タスマンの歴史を変えることとなる。

 ニュージーランドメディアの『stuff』によれば、タスマンの共同ヘッドコーチのひとりであるクラーク・ダーモディは、日本代表、サンウルブズ、パナソニックで経験を積んできた内田の加入はチームにとって大きかったと話し、「彼は質の高い男であり、彼が入るとゲームをスピードアップすることができる。私たちにとってはすばらしいことだ」と高評価。

 適応力も指揮官に認められた内田は、「最初のゲームではとても緊張したが、ずっと楽しんでいる。日本のラグビーは非常に速いのでニュージーランドと似ているが、ニュージーランドのラグビーはより意思決定を求められ、フィジカリティも非常に高いので、自分の成長のためにも良いこと」と語っている。

 ラグビー王国の最高峰大会の金メダルを獲得して帰国できるか。
 内田は新たな刺激を求めた異国の地で、ビッグゲームを迎えようとしている。

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