ニュージーランド代表との対戦戦績は2勝1分28敗。大きく負け越しているアイルランド代表だが、その2勝はこの3年間に挙げたものだ。オールブラックスと呼ばれる最強黒衣軍を2016年にアメリカのシカゴで初めて倒し歓喜すると、昨年11月には地元ダブリンでノートライに抑え、16-9で競り勝った。
その相手と、ラグビーワールドカップ2019日本大会の準々決勝で再戦する(10月19日/東京スタジアム)。
ワールドカップ3連覇を狙うオールブラックスの警戒は高まっていると思われるが、戦術の創造性に長けた世界的知将のひとりと呼ばれるニュージーランド出身のアイルランド代表ヘッドコーチ、ジョー・シュミットは冷静だ。
「我々は無論、もはやひるむことはないし、相手も我々の試合ぶりをよくわかっている。敗戦から学ぶということはあまり信じない。どのような経験も教訓になる。あらゆる勝利、敗戦、引き分けから学べる。我々には挑戦すべきことがいっぱいある。スコット・マクラウド(NZディフェンスコーチ)は数か月前、我々のキャンプで3日間を過ごし、我々がどう機能するかよくわかっているだろう。どうやって対抗しようかと作戦を練っていると思う。ラグビー界は狭い世界だ」
CTBバンディー・アキが10月12日のサモア戦で危険なタックルをしたとして3試合の出場停止処分を科され、準々決勝を含め、今大会ではもう出場できない。試合登録メンバーの23人はオールブラックスを破るのに十分な布陣かと問われたシュミット ヘッドコーチは、「不運なのは、ニュージーランド戦でどんな23人を選んでも相手は試合運びがとてもうまいこと。それがオールブラックスの特質だ。しかし、今回のアイルランドのメンバーの多くは(若い選手も含め)経験を積み重ね自信をつけている。オールブラックスと対戦するときは常に脇役に甘んじるということではいけない。自分たちのベストを出して戦うことが必要で、今回の23人はそうする用意ができている」とコメントした。
アイルランドは過去、ワールドカップで一度もベスト8から先の壁を破ったことがない。4大会目の出場である37歳のローリー・ベスト主将は今大会を最後に引退することを表明しており、オールブラックス戦への思いは強い。
「どちらのチームがゲームプランをきちんとやり遂げ、負ければ敗退というプレッシャーに打ち勝つかだ」
そして、昨年の世界最優秀選手である司令塔のジョニー・セクストンは、「2015年大会のこの試合(準々決勝)は観客として見ていた。いいものではなかったよ。だから、この大舞台に立てることをとても楽しみにしている。しかも相手はワールドカップ2大会で一度も負けていない、世界トップのチームだ」と燃えている。いつも通りしっかり準備を整えて、歴史を変えようと、ビッグゲームにチャレンジする。
<RWC2019 (準々決勝: vs ニュージーランド) アイルランド代表 試合登録メンバー>
1.キアン・ヒーリー 2.ローリー・ベスト(主将) 3.タイグ・ファーロング 4.イアン・ヘンダーソン 5.ジェームズ・ライアン 6.ピーター・オマホニー 7.ジョシュ・ファンダーフリヤー 8.CJ・スタンダー 9.コナー・マレー 10.ジョニー・セクストン 11.ジェーコブ・ストックデール 12.ロビー・ヘンショー 13.ギャリー・リングローズ 14.キース・アールズ 15.ロブ・カーニー
〔リザーブ〕
16.ナイル・スカネル 17.デイヴ・キルコイン 18.アンドリュー・ポーター 19.タイグ・バーン 20.リース・ラドック 21.ルーク・マグラー 22.ジョーイ・カーベリー 23.ジョーダン・ラーマー