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難敵アイルランドと8強で激突 NZ指揮官「勝つか負けるか、その結果を受け入れるのみ」

2019.10.19

NZのスティーヴ・ハンセンHC(左)と大勝負に間に合ったブロディー・レタリック(Photo: Getty Images)


 ラグビーファンの多くは、世界ランキング1位でワールドカップ2019日本大会開幕を迎えたアイルランド代表がプールAを1位通過すると予想したかもしれない。しかし、日本代表が起こした「静岡の衝撃」により、アイルランドは同組2位通過。10月19日に東京スタジアムでおこなわれる準々決勝でニュージーランド代表“オールブラックス”と対戦することが決まった。

 前人未到のワールドカップ3連覇を狙うオールブラックスにとっては、いやな相手かもしれない。アイルランドとは昨年11月にダブリンでテストマッチをおこない、ノートライに抑えられ9-16で敗れている。

 準々決勝の相手がアイルランドに決まり、オールブラックスのスティーヴ・ハンセン ヘッドコーチは「浮ついた気持ちなどない。うちと対戦すると、ほとんどのチームが普段より10パーセント増しのプレーをする。アイルランドも一緒だ」とコメントしていた。そして情熱的なグリーンジャージーのチームを「粘り強く、組織化されたゲーム運びが特にすばらしい。ミスから相手にチャンスを与えることが少なく、ボールの保持がうまい。キックでは相手にプレッシャーをかけ、自由にプレーをさせない」と評価し、警戒する。

 脱臼した肩の回復に時間がかかり、プールB初戦(南アフリカ戦)のメンバーには入っていなかった世界最高峰ロックのブロディー・レタリックは、10月6日のナミビア戦で戦列復帰を果たし、準々決勝は先発リストに名を連ねた。
 指揮官いわくフル出場の可能性は低いが、「幸いにもスコット・バレットがいる。我々はゲームの途中で元気のある選手を投入できるし、彼らが違いを作り出す。交代選手に恵まれていることは我々に自信を与える」という。

ダブル司令塔。15番をつけるボーデン・バレット(左)と10番のリッチー・モウンガ(Photo: Getty Images)

 フッカーは、コーディー・テイラーが先発でデイン・コールズがリザーブ。戦力に自信を持つハンセン ヘッドコーチは「どちらが先発してもいいのだが、コーディーを選んだ。コールズのエネルギーが後で必要になるとの判断。いずれにせよ2人でワンツーパンチだ。世界のトップクラスのフッカーが2人もいるのはとてもラッキーだ」とコメントした。
 センターはアントン・レーナートブラウンとジャック・グッドヒューのコンビ。ソニービル・ウィリアムズはベンチで待機しインパクトプレーヤーとなる。

 負ければ終わりのノックアウトステージ。過去のワールドカップでオールブラックスがベスト4入りできなかったのは2007年フランス大会の一度だけだ。ハンセン ヘッドコーチは気を引き締める。
「2007年大会で我々は敗退を経験したし、同じことが起こらないとの保証はない。アイルランドは準々決勝から先に進んだことはないので、これまで以上の力を出してくるだろう。我々も同じ気持ちだ。ともかくエキサイティングな試合になることを期待している。終了後に誰も言い訳ができない試合だ。勝つか負けるか、その結果を受け入れるのみだ」

 そして、今大会を最後にオールブラックスから引退するキアラン・リード主将は、「ニュージーランド代表として最後の試合になるかもしれないが?」という記者からの問いかけに対し、「そんなことはまったく考えていない。いいプレーができるか、ピッチでどうチームを引っ張っていくかなど他に考えることが山ほどあるから、そんなことは頭をよぎったこともないよ」とコメントした。

ワールドカップ優勝を2回経験しているオールブラックスの大将、キアラン・リード(Photo: Getty Images)

<RWC2019 (準々決勝: vs アイルランド) ニュージーランド代表 試合登録メンバー>

1.ジョー・ムーディー  2.コーディー・テイラー  3.ネポ・ラウララ  4.ブロディー・レタリック  5.サム・ホワイトロック  6.アーディー・サヴェア  7.サム・ケイン  8.キアラン・リード(主将)  9.アーロン・スミス  10.リッチー・モウンガ  11.ジョージ・ブリッジ  12.アントン・レーナートブラウン  13.ジャック・グッドヒュー  14.セヴ・リース  15.ボーデン・バレット

〔リザーブ〕
16.デイン・コールズ  17.オファ・トゥウンガファシ 18.アンガス・タアヴァオ  19.スコット・バレット  20.マット・トッド  21. TJ・ペレナラ  22.ソニービル・ウィリアムズ  23.ジョーディー・バレット