ラシー・エラスマス監督のメンバー発表はあっさりしたものだった。
10月17日、キックオフ48時間前の規定より1日早く日本戦の出場選手を発表した指揮官は、「(プール戦の)イタリア戦と同じメンバーです」。さらりと言った。
他チームより早くアナウンスする理由を「隠すことが何もないからだ」と話した。
「早くメンバー発表すれば、選手も早く落ち着けます。選手たちには、すでに日曜日(13日)には伝えました」
対戦相手のことを気にするより、自分たちのやるべきことにフォーカスする。覚悟を決めた出場メンバーが、気持ちをひとつにする時間が長い方がいいと思っている。
「イタリア戦と同じ」とひと言で終わらせたものの、「簡単に決めたわけではない」と付け加えた。
「イタリア戦でのコンビネーションや継続性を考えて、これがベストのメンバーと考えた結果です」
よく動くジャパンへの対策として、機動力のある選手たちを選んだ。HOにボンギ・ンボナンビが入ったのもそのためだ。リザーブ8人の内訳はFW6人とBK2人。そこにも理由がある。
FWでねじ伏せよう。そんな意図を持っての構成かと問われたエラスマス監督は、「確かにそれもあるが」と言った。
「日本の戦い方を見ると、彼らは前半終盤、後半終盤に疲れが見える相手のFWに付け込んでくる。うちのチームは、しっかりとしたFW陣が2セットいるから、日本が使おうとしているそのスペースを消せると考えています」
試合ごとに進化するジャパンに警戒心を深める。大会開幕前の9月6日、熊谷で対戦したときには41-7と大勝しているが、「あのときの結果は関係ない」ときっぱり言った。そして、「自分たちも(あのときより)良くなっている」と自信を見せた。
イタリア戦の終盤に足を痛めたWTBチェズリン・コルビは完調に戻ったようだ。トイメンの福岡堅樹とのスピードスター対決は勝敗に大きく関わり、ファンのときめきを呼ぶだろう。
後半にパワフルなHOマルコム・マークスが投入される。ジャパンにとっては手強い相手となりそう。好ゲームが期待される。
エラスマス監督は、今回のワールドカップで感じている日本のファン、地域の雰囲気の良さに触れ、「(日本戦の)スタジアムでは敵意でなく、敬意を持った空気の中でプレーできることはわかっています」とした上で、勝負は別物と話した。
「誇り高く戦います。私たちの国は、いろんな問題を抱えています。選手たちは、このチームだけでなく、多くのものを背負って戦っています」
満員のスタジアムで戦うことが楽しみと言う指揮官は、気を引き締めて、負けたら終わりの決戦に挑む。
2019.10.20 vs JAPAN
1.テンダイ・ムタワリラ
2.ボンギ・ンボナンビ
3.フランス・マルハーバ
4.エベン・エツベス
5.ルード・デヤハー
6.シヤ・コリシ(C)
7.ピーター=ステフ・デュトイ
8.ドウェイン・フェルミューレン
9.ファフ・デクラーク
10.ハンドレ・ポラード
11.マカゾレ・マピンピ
12.ダミアン・デアレンディ
13.ルカンヨ・アム
14.チェズリン・コルビ
15.ウィリー・ルルー
16.マルコム・マークス、17.スティーヴン・キッツォフ、18.ビンセント・コッホ、19.RG・スナイマン、20.フランコ・モスタート、21.フランソワ・ロウ、22.ハーシェル・ヤンチース、23.フランソワ・ステイン