ヨーロッパのセカンドグループのトップとしてティア1(強豪国)に対し激しく闘争心を燃やすジョージア代表が、南半球ビッグ4の一角であるオーストラリア代表に初めて挑んだ。舞台は最高峰、ラグビーワールドカップ。10月11日、台風が近づいている静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアムは雨が降り風も強かったが、観客3万9802人が集まった。そんななか、これが2019日本大会のラストゲームだったジョージアの男たちはすべてを出しきり、8-27、負けた。しかし、ノーサイドの表情は清々しく、健闘した敗者には大きな拍手が送られた。
ジョージアはこの試合に勝てば2勝2敗でプールD3位となり、次回大会の出場権を得られることになっていたが、それはならず、4年後にフランスで開催される大舞台は予選から参加することとなる。
一方、すでに準々決勝進出を決めていたオーストラリアは、3勝1敗(総勝ち点16)でプールステージの戦いを終えた。
「レロス」という愛称を持つジョージア代表。徹底的に鍛えて自信をつけたスクラムは、優勝を狙っているゴールドジャージーの「ワラビーズ」を圧倒できなかったが、負けはしなかった。相手にボールを支配される時間が長く、80%を自陣で戦うこととなったものの、懸命の、魂のタックルを繰り返した。この試合、オーストラリアが46回タックルしたのに対し、ジョージアは201タックル。オーストラリアはボーナスポイントに必要な4トライを奪うのに79分必要とした。
FWのフィジカルが注目されるジョージアだが、エキサイティングなBKも少なくない。それはこの試合でも証明された。ワラビーズからトライを奪ったのだ。69分、SOラシャ・フマラゼが自陣からダミーモーションを使って抜け、WTBアレクサンデル・トドゥアにつないで疾走、歓喜となった。
この試合がジョージア代表として本当のラストと思われる英雄マムカ・ゴルゴゼらのスピリットを引き継ぎ、この日先発した20代前半のFLベカ・サギナゼ、NO8ベカ・ゴルガゼ、SHゲラ・アプラシッゼ、WTBギオルギ・クベセラゼなどが4年後、新たな歴史に挑むだろう。
ジョージアのラグビーワールドカップ2019日本大会は終わった。目標は達成できなかったかもしれないが、大きなものを得て、帰国する。彼らも、勇ましかった。