ラグビーワールドカップ2019日本大会の最終戦を迎え、すべてを出し切ろうと誓ったフィジー代表が10月9日、観客3万3379人が入った大分スポーツ公園総合競技場を沸かせた。しかし、熱闘を制したのは欧州王者のウェールズ代表だった。29-17でノーサイド。
ウェールズはプールD3勝0敗(勝ち点14)で準々決勝進出を決め、1勝3敗(勝ち点7)ですべての戦いを終えたフィジーはノックアウトステージが始まる前に日本を去る。
2勝1敗(勝ち点11)でプール戦をあと1試合残しているオーストラリア代表もベスト8入りが決まった。
開始早々から勇敢なフィジーが襲いかかった。
前半3分、ゴール前のスクラムから右にボールを動かし、WTBチョスア・トゥイソヴァが3人にタックルされながらも踏ん張り、コーナーに先制トライを挙げた。8分にはWTBセミ・ランドランドラから飛ばしパスをもらったFBキニ・ムリムリヴァルがフィジカルも活かしてフィニッシュし、大歓声が起きた。
両チーム合わせて4枚のイエローカードが出たこの試合。先にシンビンを食らったのはウェールズだが、15分にはフィジーにも10分間の退出者が出て流れが変わる。
17分、ゴールに迫ったウェールズはSOダン・ビガーからのクロスキックをWTBジョシュ・アダムズが確保し、トライ。フィジーの粘り強いディフェンスに苦労していたウェールズだが、30分にはスピーディーな連続攻撃で白い壁を崩し、WTBアダムズが左外を抜けてフィニッシャーとなった。14-10、ウェールズのリードで折り返した。
しかし52分(後半12分)、今度はウェールズにイエローカードが出ると、数的有利をフィジーがものにする。直後、ゴール前のラインアウトからモールで押し込み、ペナルティトライを獲得、逆転した。
それでもウェールズは57分、途中出場のSOリース・パッチェルが約45メートルのPGを決め、17-17の同点になった。欧州王者はさらに60分、ラインブレイクしたCTBジョナサン・デーヴィスがゴールに迫ってフリックパスでWTBアダムズにつなぎ、コーナーに飛び込んだ赤いジャージーの11番はハットトリック達成、チームは勝ち越した。
その後、堅守でフィジーの攻撃に耐えたウェールズは、68分には混沌のなかをSHガレス・デーヴィスが切り裂き、FBリアム・ウィリアムズがトライを挙げて勝負を決めたのだった。