スコットランドにとっては、プール突破を自力で決めるには勝ち点4以上が必要な試合。後半の初めに早くも4トライ目を奪って最終スコアは61-0。勝ち点5として日本にプレッシャーをかけた。
この結果により、日本が4日後の直接対決でプール突破ができる条件は次のようになった。
・日本が勝つ
・引き分ける
・敗れても、相手にボーナスポイントを与えず、日本はボーナス1ポイントを得る。相手にボーナスポイントを1取られた場合は、日本がボーナス2ポイントを得る
※ 敗れた場合のボーナスは、点差が7以内の場合、4トライ以上挙げた場合に与えられる
キックオフ直後に猛烈な勢いを見せたのはロシアだ。
中盤では蹴り返しを狙ったハイパントから、なんとか蹴り合いで相手の裏を取りたいロシア。応戦したスコットランドがタッチをきらなかったこともあり、序盤の攻め合いは4分以上も続いた。
しかし、次第に陣地はスコットランドが押し気味に。
スコットランドはボールを持って攻めたかと思えば、背後へのキックを使うなど、この日W杯初先発のSOアダム・ヘイスティングスが見事なコントロール力を見せた。
ファーストトライは13分、FW陣の奮起が起点だ。
敵陣22メートライン内のミスで相手スクラムが組まれると、これを弾き返すように押し込んでターンオーバー。中央のスクラムから、CTB陣が一気に右に移動するアタックで崩し、CTBを余らせた状態でSOアダム・ヘイスティングスがそのまま突破し、インゴール中央に飛び込んだ。
SOヘイスティングスは17分にも自らのキックを追い、インゴールで押さえて連続トライ。自陣のディフェンスで相手のこぼしたボールを拾ったのが起点だった。(2トライ目)。
そして連続3つ目となるトライは、相手ゴール前のラインアウトから。
ロシアが自ゴールを背負って確保したボールだったが、モールで圧力を受けながら出したボールは安定せず、SHがパスアウトしたボールを、スコットランドSHジョージ・ホーン(やはり初先発)がそのままカットしてグラウンディング。21-0となった。
選手たちのミッションであるボーナスポイントが約束されたのは、後半始まってわずか4分だ。22歳のWTBダーシー・グレアムがディフェンダーを置き去り、完全なオーバーラップを作ってSHホーンにボールを託し、ゴールラインを超えた。
以降、スコットランドはトライを量産して、静岡の夜を歓声で一杯にした。
FW陣はセットプレーで確実な仕事をし、SHは堅実にさばく。SOヘイスティングスは絶妙なコントロールのキックで相手をゴール前に封じ込め、外へも思い切ってボールを供給して、相手FW、BKに常にプレッシャーを与えた。バックスリーはキック合戦に完勝、地域取りを優位に運んだ。
圧勝したスコットランドは、ほぼ控え選手によるメンバリングだった。スターターのうち前戦で先発したのはWTBダーシー・グレアムのみ。それ以外の14人が入れ替わった構成でロシアに相対した。過去ワールドカップで、スコットランドがこれだけ多くの先発を入れ替えたことははない。
控え選手たちが奮起し、厳しい日程を乗り切る。日本戦には万全の態勢で乗り込んでくる。