ラグビーリパブリック

オンとオフの使い分け。「長旅」期するイングランド

2019.10.08
会見に臨むイングランドの選手たち。左からFBデイリー、SHヘインズ、HOジョージ(撮影・竹鼻智)

会見に臨むイングランドの選手たち。左からFBデイリー、SHヘインズ、HOジョージ(撮影・竹鼻智)

 4年前には叶わなかった準々決勝進出を、3試合目にして達成したイングランド代表。今大会は日本代表が悲願の予選リーグ突破に王手をかけており、「開催国として、史上唯一の予選リーグ敗退」という不名誉は、少なくともあと4年は続く可能性がある。

 10月7日(月)に新宿で行われた記者会見でこの質問をふられたニール・ハトリー スクラムコーチは、「エディー(・ジョーンズ監督)はじめ私たちイングランドは次のフランス戦に全力を注ぎます。それ以外のことは何も考えていません」、と述べた。

 8強へ一番乗りを果たし、準決勝、決勝へと続く長旅を期するイングランド。目下の関心事はエースのケガだ。

唯一の専門職NO8ビリー・ブニポラは、5日のアルゼンチン戦で足首を負傷し、ハーフタイムで退場。これについて聞かれたハトリーは、「まだスキャンの結果を検証中で、フィジオセラピスト(物理療法士)と一緒に状況をみている最中です。明日には、詳しい状況が分かる。まぁ、うれしそうな顔をして、ビュッフェで沢山食べているので、大丈夫だとは思います」と笑いを誘う。

 188センチ、130キロの体躯を誇り、類稀なスピードとフットワークを兼ね備え、ボールをもらいに走り込むタイミングと角度を読める。ブニポラは、明らかに替わりがいない選手だ。だが、過去2シーズンは負傷に泣かされ、この大砲無しでもチームは何とかやってきた。ブニポラがいなければ、他の選手たちが彼の穴を埋めるというゲームプランは、すでに何度も試合で実行している。

 HOジェイミー・ジョージは、「自分とビリー(ブニポラ)がラックサイドに走り込む姿を見れば、SHは多分ビリーにボールを渡すでしょう。ですが、ビリーがいなければ他の誰かにボールを渡す。特に心配する必要はありません」、と余裕のコメント。

そのSHウィリー・ハインツは、フランス戦で警戒する選手はと聞かれて対面の名を挙げた。
「どの選手も危険な選手だと思いますが、やはり自分は9番の選手たちが頭に浮かびます。アントワーヌ・デュポンのゲームは、注目して見ています。ランニングゲームだけではなく、彼のパスとキックには細心の注意が要る」。

 前節のアルゼンチン戦では攻守ともに光るプレーを見せたFBエリオット・デイリーは優等生的な受け答え。
「ボールを触る機会も多く、いい試合ができたと思います。問題は、次の試合でいかにいいプレーをできるかです」

 しかしその後はチームの素顔を語ってくれた。

 オフタイムの過ごし方について聞かれたデイリーは、「ハイライトは、日本に到着して、バスを待つ間に駐車場でプレーしたクリケットです」と切り出した。

イトジェにボコられた(?)、HOのジェイミー・ジョージ(撮影:竹鼻智)

「クリケットのセンスがあるとは言えない、マロ(・イドジェ。LO/FL)が、ジェイミー(・ジョージ)をこてんぱんにしたのは最高だった」と述べ、笑いを誘った。隣に座るハインツはうなずき、「確かに」。すかさずジョージはマイクを奪いとり、「私は寛大な性格なので、マロに花を持たせてあげただけです。それでは今日の会見は、以上です」と、さらに会場を沸かせた。

プレミアリーグの12チームから代表選手が選ばれるイングランドは、代表入り、その後のポジション争いが熾烈を極める。だが、ここまで来れば、そんなことを言っている場合ではない。集中とリラックスを使い分けて、大事な場面でチームとして最高のパフォーマンスを発揮するために、全員が全力を尽くしている。

ラグビーの母国、イングランド代表は、12日 土曜日、17時15分に横浜国際競技場で迎えるフランス代表戦に向け、淡々と準備を進める。

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