4万8185人の観衆が見守った。東京スタジアムで行われた「重量級対決」は、39-10でイングランドがアルゼンチンを下し、3試合連続のボーナスポイント付きの勝利を挙げた。イングランドは総勝ち点を15に伸ばし、一番乗りでベスト8入りを決めた。
フランスに敗れ、すでに1敗を喫しているアルゼンチンのマリオ・レデスマ監督は試合前、「この試合は、我々にとって決勝戦と同じだ」と、決死の覚悟を表明した。その言葉通り、先制は水色と白のジャージー。開始2分、ペナルティゴールで3点を先取した。
しかしイングランドは慌てない。8分には自陣ゴール前のラックからSOジョージ・フォードとWTBジョニー・メイが2対2の状況でディフェンスをズラす。5−3とあっさり逆転した。
アルゼンチンは、さらに自らの状況を悪くした。
17分だった。LOトーマス・ラバニーニがCTBオーウェン・ファレルへ高めのタックル。肩が頭部を直撃し、一発でレッドカードをもらった。今大会、特に厳しい危険なタックルへの判定。この試合でも退場者が出る結果となってしまった。
この後、ちょっとしたペナルティでもスローモーションが会場のスクリーンに映し出され、両チームのサポーターからはブーイングが起こった。スタジアムは一時、異様な雰囲気に包まれた。
イングランドは、外へボールを展開する際、ダミーランナーの背中を通すパスを多用した。これが上手く機能。一発でラインブレークはできなくとも、ディフェンスをギリギリまでひっぱり、その後のラックの支配を容易にした。
35分には、アルゼンチンゴール前のラックから展開されたボールを受けたFBエリオット・デイリーがマークをスピードで振り切る。前半ロスタイムには、ラックサイドの穴を突いたSHベン・ヤングスがトライ。15-3とイングランドリードで前半を終えた。
後半に入っても試合はイングランドが支配した。特に、BKの展開力では明らかに上回った。フォード、ファレルからのロングパスと、デイリー、メイ、WTBアントニー・ワトソンの広いスペースでの鋭い走りで攻め続ける。44分には、フォードがゴール前ラックのディフェンスのギャップからねじ込むトライ。ファレルは、この日5本目となるキックをようやく決め、22-3とリードを広げた。
その後、必死の反撃を試みるアルゼンチンは、ラインアウトからのサインプレーでイングランドディフェンスを切り裂く。70分にWTBマチアス・モロニがトライを決めた。
しかしイングランドはさらに攻めた。73分には途中出場のWTBジャック・ノーウェルが、79分にはラインアウト後のドライビングモールからHOルーク・コーワンディッキーがインゴールに押さえ、コンバージョン成功で39-10。3試合連続、ボーナスポイント付きの勝利を挙げた。