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混戦のプールで「コップの水」を愉しむ。スコットランド指揮官はタフ

2019.10.01
スコットランドの次戦は試合から9日後のロシア戦。その4日後には日本と戦う(撮影:毛受亮介)

スコットランドの次戦は試合から9日後のロシア戦。その4日後には日本と戦う(撮影:毛受亮介)

9月28日に日本がアイルランドを破るという番狂わせを起こし、突然その行方が分からなくなったプールA。2万7586人が見守るなか、神戸市御崎公園球技場で行われた試合は、34−0でスコットランドがサモアを下した。

4トライを挙げたスコットランドは、ボーナスポイント付きの勝ち点5を獲得。2節を終えた予選A組は、アイルランド、サモア、スコットランドが1勝1敗で並ぶが、ボーナスポイントの差でアイルランドが2位、同勝ち点ながら獲得トライ数で上回るサモアが3位、スコットランドが4位となっている。開幕2連勝で勝ち点9を獲得した日本は単独首位、2連敗となったロシアはここまで勝ち点なく、5位となっている。

試合は序盤から、SOフィン・ラッセルを軸に長短織り交ぜたパスワークで、スコットランドがサモアディフェンスの組織力を試しにかかる。サモアも、フィジカル勝負のラック近辺への縦攻撃に限らずに、外のスペースへボールを運び、スコットランドへBK勝負を挑む。

最初のトライが生まれたのは、30分。

サモア陣22メートルライン付近から、ラッセルの絶妙なクロスフィールドキックをキャッチしたショーン・マイランド(WTB)がトライ。34分には、キック合戦で双方のディフェンスが整わないなか、ラッセルのラインブレークから、FLジェイミー・リッチー、SHグレイグ・レイドローとつなぎトライ。38分には、FBスチュアート・ホッグのDGも決まり、20−0とスコットランドのリードで前半を折り返す。

後半に入っても勢いは止まらず、56分にはゴール前の密集から、ボールをねじ込みにいくHOフレイザー・ブラウンを、オフサイドの位置から密集に入って邪魔をしたとされたWTBエド・フィドウが、イエローカードを受け、スコットランドにはペナルティトライが与えられる。

さらにフィドウは、シンビンからグランドへ戻って間もない75分、今度はWTBショーン・マイトランドのトライを、地面に滑り込みながら足で違法に邪魔したとし、2度目のイエローカードを受ける。これでフィドウは退場となり、スコットランドはまたペナルティトライを与えられ、ボーナスポイント獲得のための4トライを確保した。

試合はこのスコアのまま終了し、34−0でスコットランドの勝利となった。

ロシア戦に続き、2枚のイエローカードを受けることとなった、サモアのスティーブ・ジャクソン監督は、「あのような状況でも、選手は正しい判断を下す必要があります。そもそも、判断が狂うような状況に自分たちを追い込んだのは、自分たち以外の何者でもありません」と、この日の出来を反省した。

また、大差のついた結果から、これがティア1とティア2の違いかと問われると、「そんなことはありません。日本とアイルランドの試合を観ましたか? 我々は、ワールドカップという大会で戦っている。ティア1だのティア2だのと、言っている場合ではないでしょう」とコメントした。

試合後、淡々とした表情で声援に応えるFBスチュアート・ホッグとSHクレイグ・レイドロー(撮影:早浪章弘)

  ボーナスポイント獲得となる4トライだけでなく、サモアを0点に抑える完封勝ちとなった、スコットランドのグレガー・タウンゼント監督は、「今日は、まず勝つ試合をすること。ボーナスポイントは、その結果としてついてくるものという考えで、試合に臨みました」、と今日の試合を振り返った。
 
アイルランドを破る金星を挙げる上で力となった、日本ホームの “異様な雰囲気”について聞かれると、不敵な笑みを見せた。

「コップの中の水が半分しかない、と考える人は、こうした雰囲気がプレッシャーになってしまう。半分もある、と考える人は、よりモチベーションを燃やす。我々がどういう心構えでこの雰囲気を捉えるかは、明らかです」

日本がアイルランドを倒したことで、より注目が集まった、予選A組のこの日の一戦。スコットランドが自力の差を見せつける結果となった。スコットランドはこの後、10月9日にロシアと戦い、サモアは10月5日に、日本と対戦する。

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