ラグビーリパブリック

恐るべきホッグ。怪我人続出のスコットランド代表で輝き保つ。

2019.09.25

ピンチでのボール処理のあとエキサイトするスチュアート・ホッグ(Photo: Getty Images)


 めったにチャンスが訪れない試合展開でも、見せ場を作った。

 9月22日、横浜国際総合競技場。スチュアート・ホッグはスコットランド代表のFBとしてラグビーワールドカップ日本大会のアイルランド代表戦に先発。プールAのファーストゲームは3-27と落とすことになるが、ターンオーバー直後の攻撃時などに隙を逃さぬランを披露。30日のサモア代表戦(兵庫・神戸市御崎公園球技場)に向け、こう前を向いた。

「来週までに改善点を改善し、勝てるようにしていきたい」

 欧州6強同士のバトルは、今年一時的に世界ランク1位となったアイルランドに軍配が上がった。敗れたスコットランドはワイド攻撃を目指していたが、緑の防御をなかなか崩せない。相手WTBの背後へのキックで首尾よく陣地を取るシーンもあったが、防御の乱れを突かれたり、ハイパントの争奪で競り負けたりして失点する。

 グレガー・タウンゼント ヘッドコーチは意気消沈していた。公式会見では、主戦FLのハミッシュ・ワトソン、SHのアリ・プライスの故障の深刻さも示唆。あとは相手のすごみを讃えるほかなかった。

「残念です。エネルギー、精度を発揮できなかった。本来ならもっとアグレッシブな戦いをしなくてはならなかった。こちらの自陣22メートルで相手はチャンスを仕留めていました。チャンスを相手に与えるときちんと活かされる。それがアイルランドです。何度かルーズボールがあり、向こうが攻勢を仕掛け、決まった。プレッシャーをかけられた」

 3-19とリードされて迎えた前半34分頃、敵陣22メートル線付近での攻撃中に右中間のスペースをサーチ。その場にいたホッグは味方のパスを受け取ってすぐに大外へ回そうとしたが、捕球と同時に相手WTBのジェイコブ・ストックデールの激しいタックルを浴びる。遠い場所から一気に間合いを詰める防御に対し、面食らったかのようなホッグはボールを前方へ放ってしまう。

「機会を活かせなかったのが僕たちの不幸で、それがゆえにこの結果になった。彼らのディフェンスについては長く分析してきたが、各選手に違ったディフェンス方法があり、結果として全体的に強力なディフェンスのプランを作り上げていた。賢いな、という感じでした」

 転んでも、ただでは起き上がらない。ホッグが光ったのは後半開始早々。ハーフ線付近右で相手SHのコナー・マレーが捕ろうとしたハイボールを手前に落とすと、濃紺のジャージィは一気に左へ展開。同時にホッグは、最後尾の守備位置から一気に駆け上がってライン参加する。

 パスをもらい、相手FW陣が防御に並ぶエリアへチャレンジ。歓声を招いた。

 スコットランドはそのひとつ先のフェーズでターンオーバーを許したが、身長180センチ、体重93キロの27歳が好反応を示したのは確かだ。ホッグはその後も好ランを繰り出しており、以後の活躍も予感させた。
 10月13日に横浜でぶつかる日本代表としても、この人の前に走路を作るのは避けたいだろう。

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