ラグビーリパブリック

ハングリーなロシアンベアーズ 8年ぶりのW杯は未来へつなげるビッグチャレンジ

2019.09.13

左からSOラミル・ガイシン、PRワレリー・モロゾフ、LOアンドレイ・オストリコフ(Photo: Getty Images)

 “ベアーズ”の愛称で知られるロシア代表が、2011年大会以来2度目のラグビーワールドカップに挑む。2019年大会はヨーロッパ最終予選で3位に終わり敗退と思われたが、ロシアより上位の成績だったルーマニアとスペインが代表資格のない選手を予選に出場させていたことが発覚し、制裁を受け、ロシアは思わぬ形で日本行きの切符を獲得した。
 8年前の大舞台は4戦全敗。ワールドカップ初勝利を目指すハングリーなロシアンベアーズは、9月20日に東京スタジアムでおこなわれる開会式のあと、日本代表に挑む。

 ウェールズ人のリン・ジョーンズ ヘッドコーチは日本代表との開幕戦へ向け、「ロシアのラグビー史において最も大きな試合になる。我々には秘策があり、驚かせるつもりだ。日本を倒すことはできる」とコメントした。
 ロシアラグビー協会は2027年のラグビーワールドカップ招致に興味を示しており、未来へつなげるビッグチャレンジでもある。

 世界ランキングは20位だが、侮ってはいけない。昨年11月にイングランドで日本代表と対戦し、27-32と接戦だった。日本は12点ビハインドで折り返し、終盤に逆転して辛くも勝った。

昨年11月の日本戦でもトライを挙げたCTBウラジミール・オストロウシコ(Photo: Getty Images)

 2011年のワールドカップ出場者で今回も選ばれたのは7人。
 ゴールキッカーとしても安定しているSOユーリ・クシュナレフはロシア代表歴代最多得点者であり、ワスプス(イングランド)でプレー経験があるFL/NO8ヴィクトル・グレショフとともに100キャップ以上持つベテランだ。

 同じく前回のワールドカップを経験しているCTBウラジミール・オストロウシコは、7人制の国際舞台でも名の知れたパワフルなランナー。主将のFBワシリー・アルテミエフは、2011年ワールドカップのアイルランド戦で挙げたトライを含め、テストマッチでロシア代表歴代最多の30トライを記録している。アルテミエフは2011年から2季、ノーサンプトン・セインツに在籍したロシア人初のプレミアシップ(イングランド最高峰リーグ)プレーヤーでもある。

チームメイト、指揮官からの信頼も厚いFBのワシリー・アルテミエフ主将(Photo: Getty Images)

 ロシア人2人目のプレミアシップ選手となったLOアンドレイ・オストリコフは、セール・シャークスで8季146試合に出場するなど経験豊富。2011年のワールドカップはスコッド入りしながら試合には出ておらず、今度こそ大舞台で暴れたい。

 国内チームに所属する選手が多いなか、ワールドカップ開幕の翌日に25歳の誕生日を迎えるPRワレリー・モロゾフもセール・シャークスで力をつけた選手であり、強力なスクラムやダイナミックな走りなどでチームをけん引するひとりとなる。

 そして、32歳のPRキリル・ゴトフツォフは、ラグビー歴はわずか5年だが、レスリング(フリースタイル120キロ級)とボブスレー(2人乗り)でもロシア代表になったことがあるスーパーアスリート。彼の爆発力と驚異的な強さに注目したジョーンズ ヘッドコーチは、ゴトフツォフについて「これまで私が指導したなかで、最高のタイトヘッドプロップのひとり」と評価。潜在能力に経験を加えることができれば、なんでも可能な選手になると期待する。

 バックスでは、SOラミル・ガイシンも魅力的な選手のひとり。昨年11月の日本戦でも見事なキックスキルを披露し、7人制で磨いたフットワークも武器とする。創造性豊かなアタッカーであり、“ロシアのカーロス・スペンサー”(元ニュージーランド代表SO)とも呼ばれている。

 未知の可能性を秘めたロシアの男たち。警戒が必要だ。

総合格闘技の経験もあり、フィジカルバトルに強いFLタギル・ガジエフ(Photo: Getty Images)

<ラグビーワールドカップ2019 ロシア代表 スコッド>

【PR】
アンドレイ・ポリバロフAndrey Polivalov (VVAモスクワ/33歳/27 caps)
ワレリー・モロゾフ(セール・シャークス=ENG/24歳/18 caps)
キリル・ゴトフツォフ(クラスニーヤール/32歳/4 caps)
アザマト・ビティエフ(クラスニーヤール/29歳/ caps)
ウラジミール・ポドレゾフ(VVAモスクワ/25歳/26 caps)

【HO】
エブゲニー・マトヴェーエフ(VVAモスクワ/34歳/59 caps) ※ 2011年大会出場
セルゲイ・チェルニショフ(スラヴァ・モスクワ/31歳/12 caps)
スタニスラフ・セルスキー(エニセイSTM/28歳/36 caps)

【LO】
アンドレイ・ガルブーゾフ(クラスニーヤール/36歳/95 caps) ※ 2011年大会出場
エフゲニ・イェルギン(エニセイSTM/32歳/25 caps)
アンドレイ・オストリコフ(グルノーブル=FRA/32歳/33 caps)
ボグダン・フェドトコ(クラスニーヤール/24歳/21 caps)

【FL/NO8】
ヴィタリー・ジヴァトフ(VVAモスクワ/27歳/10 caps)
ロマン・コディン(クバン/26歳/5 caps)
アントン・シチエフ(メタルルグ/25歳/14 caps)
タギル・ガジエフ(クバン/25歳/30 caps)
ヴィクトル・グレショフ(クラスニーヤール/33歳/101 caps) ※ 2011年大会出場
ニキータ・ヴァヴィリン(スラヴァ・モスクワ/25歳/10 caps)

【SH】
ドミトリー・ペロフ(VVAモスクワ/34歳/11 caps)
ワシリー・ドロフェーフ(クラスニーヤール/29歳/23 caps)

【SO】
ユーリ・クシュナレフ(クラスニーヤール/34歳/111 caps) ※ 2011年大会出場
セルゲイ・ヤニュシュキン(ロコモティブ・ペンザ/32歳/17 caps)
ラミル・ガイシン(エニセイSTM/28歳/46 caps)

【CTB】
イーゴル・ガリノフスキー(クラスニーヤール/33歳/50 caps)
ウラジミール・オストロウシコ(クバン/32歳/48 caps) ※ 2011年大会出場
ドミトリー・ゲラシモフ(エニセイSTM/31歳/64 caps)
キリル・ゴロスニツキー(クラスニーヤール/25歳/10 caps)

【WTB】
デニス・シンプリクヴィッチ(エニセイSTM/28歳/28 caps) ※ 2011年大会出場
ウラディスラフ・ソゾノフ(VVAモスクワ/25歳/9 caps)
ゲルマン・ダヴィドフ(VVAモスクワ/25歳/18 caps)

【FB】
ワシリー・アルテミエフ(主将/クラスニーヤール/32歳/89 caps) ※ 2011年大会出場

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