14年ぶりに流経大を破った日大の先発3番だ。
9月8日に茨城・龍ケ崎市のたつのこフィールドで、関東大学リーグ戦1部の日大が34−28で流経大に勝利。昨季開幕戦で惜敗(26−29)した雪辱を果たし、今季開幕2連勝とした。
勝因のひとつは強力スクラム。相手ボールスクラムをターンオーバーしてピンチを脱出。マイボールスクラムではたびたびPKを奪取した。
先発した2年生PRの新井真魚(あらい・まお)は試合後、スクラムについて収穫と課題を語った。
「最初の方はヒットで全員がまとまり、良いスクラムが組めたと思います。しかし交替で入ってきた16番の方(藤田紘輔)が、自分が一番警戒していたタイプで、何度か返される場面がありました。そこは課題ですが、最初の方のヒットは勝っていたので、これからも継続したいです」
附属の日大高校出身の19歳だ。
神奈川・日吉の学び舎で、入学当初は野球部。それまで「ラグビーの『ラ』の字も知らなかった」が、同じグラウンドで練習するラグビー部の姿に衝撃を受けた。
「日大高校で野球部に入っていたんですけど、同じグラウンドでやっていたラグビーの練習を見て、感動してしまって(笑)。当たる練習だったと思います。野球は小学校3年からやっていて、ラグビーは見たこともありませんでした」
初めて目にしたラグビーに電流が走った。日大高校ラグビー部ではプロップとして、現在日大でスクラムコーチ兼GM補佐を務める今田洋介氏にスクラムの薫陶を受けた。
転部当初から付属高から大学に上がってもラグビーを続けようと思っていた。決定打は高校3年の花園県予選準々決勝。3−57で敗れた、東海大相模戦だった。
「高校最後の試合で、スクラムで悔いが残ってしまって。分析もしていたのですが、姿勢の弱さや、ヒットスピードで崩されました。コーチにアドバイスをもらっていたのに、押せなかった。それが悔しくて」
敗戦により高校ラグビー生活は終わったが、悔しさのあまり、何度も敗戦のスクラム映像を見返した。
日大がスクラムを強化しているのは知っていたから、迷いはなかった。新井は同期のPR竹内治人とともに日大ラグビー部の門を叩いた。
大学2年になり、PR新井は先発に定着しつつある。
6年ぶりに勝利した法大との今季開幕戦にも先発。流経大戦を経て、次戦はこちらもスクラムにこだわりを持つ1勝1敗の大東大と激突する。
「まだ課題は多いです。スクラムは8人でまとまることが大事なので、これから詰めていきたいです」
後悔を味わった高校最後の試合から2年。PR新井はいま日大の強力フォワード、強力フロントローの一員として、深まるシーズンの只中を走っている。