ラグビーワールドカップで史上初のベスト8入りを狙う日本代表にとって、同じプールに入るアイルランド代表とスコットランド代表は格上の強敵であることに間違いないが、南海の勇敢な男たち、サモア代表もまた、倒すのが難しい相手であることが改めて証明された。
世界ランキング16位のサモア代表は9月7日、シドニーで、来日前最後のテストマッチを同6位のオーストラリア代表と戦い、15-34で敗れたが、70分(後半30分)まで7点差と健闘した。
パシフィック・ネーションズカップ(PNC)で課題としていたラインアウトは、この試合でも失敗を連発したサモア。しかしスクラムは、スーパーラグビー3連覇のクルセイダーズで鍛えられたPRマイケル・アラアラトアが新たに加わってパワーアップし、競争心が増した他のフロントローが後半に替わってすぐオーストラリアのパックを圧倒するシーンもあった。
サモアの52分のトライは、敵陣22メートルライン付近のスクラムで押し勝ったあと、パワフルなNO8アファエセティティ・アモサが持ち出し、SHドウェイン・ポラタイヴァオにつないで生まれた。
サモアは勇敢なタックルがいくつもあり、接点のファイトも激しかった。
バックスは、PNCに参加していなかったベテランのSOトゥシ・ピシとFBティム・ナナイウィリアムズが加わったことで戦術が豊かになり、60分にはCTBレイ・リーローの突破からWTBアーシー・トゥアラ、SHポラタイヴァオとつなぎ連続トライ。
今年は世界ランキング1位のニュージーランドも倒しているオーストラリアに終盤突き放されたが、ワールドカップへ向けて自信をつける一戦となった。
オーストラリアは、ふくらはぎに不安を抱えていたFLデイヴィッド・ポーコックが半年ぶりに実戦復帰し、先発でゲームキャプテンも務め、58分間、元気にプレーした。ポーコックは他の何人かのベテランと同じく、今回のワールドカップを最後にインターナショナルラグビーから引退することを表明しており、自国でのゴールドジャージー姿はこの試合が最後だった。