ラグビーワールドカップの開幕まで2週間となった9月6日、開催国の日本代表は本番前最後のテストマッチとして、埼玉・熊谷ラグビー場で世界ランキング5位の格上・南アフリカ代表と対戦し、7-41で敗れた。「ブライトン・ミラクル」と呼ばれた4年前のワールドカップ・イングランド大会以来の再戦で、日本は2試合連続の金星獲得ならず、南アは雪辱を果たした。
この4年間でティア1(強豪10か国=シックスネーションズ、ザ・ラグビーチャンピオンシップ参加国)のすべてのチームに挑んだジャパン。仕上げの最後にぶつかったのは、因縁の相手であり、今年の南半球王者であるスプリングボックス(南ア代表)だった。
開始早々、日本が誇るスピードスターの福岡堅樹が右脚を痛め、交代するアクシデント。
不穏な空気の序盤となった日本はラインアウト失敗が続き、まもなくピンチを迎えた。ゴール前でチャンスとなった南アは前半7分、スクラムから攻め、タテへの鋭いランを2つはさんだあとボールを動かし、WTBチェズリン・コルビが先制トライ。
逆に日本は17分、PKを得たあとクイックタップからの連続攻撃でゴールに迫ったが、堅守の南アにターンオーバーされ、得点できなかった。その後、再びボールを手にして敵陣22メートルライン内で攻めたが、ブレイクダウンでからまれチャンスを逃した。
22分、SO田村優が高く蹴り上げたボールに対し日本は競り合いに遅れ、南アのFBウィリー・ルルーが確保、カウンターでタッチライン際を駆け上がったWTBマカゾレ・マピンピがトライを挙げた。
南アのプレッシャーに日本はハンドリングエラーを多発し、リズムに乗れない。
主導権を握った南アはさらに30分、スクラムで優勢になるとすばやくボールを動かし、クイックパスをもらってフリー状態のマピンピが再びゴールに持ち込んだ。
世界屈指の優れたキッカーであるハンドレ・ポラードにも得点を重ねられ、日本は0-22で折り返した。
46分(後半6分)、日本は敵陣深くでラインアウトのチャンスだったが、身長204センチのエベン・エツベスにスチールされた。その後も敵陣深くで攻め続け14フェイズを重ねたが、世界最強クラスの堅いグリーンの壁は崩れなかった。
52分にはハイボールの競り合いに負け、ワイドに動かされマピンピにハットトリックを決められた。
意地を見せたい日本は59分、出足鋭いディフェンスで相手にプレッシャーをかけボールを奪い返し、クイックでつなぎ、WTB松島幸太朗がゴールへ駆け抜けこの試合初得点。
スタミナに自信を持つ日本は最後まで果敢に挑み、71分、反則を犯した南アのFLフランソワ・ロウにイエローカードが出て数的有利となったが、敵陣深くでのチャンスを活かせず、SO田村が長いパスをインターセプトされ、南アのコルビに約90メートルの独走トライを許した。
79分には、この試合が日本代表デビューとなったHO北出卓也が2人がかりの相手にプレッシャーをかけられボールを失い、南アの新星SH、ハーシェル・ヤンキースがゴールへ駆け抜け、日本は完敗となった。
ワールドカップは9月20日に開幕。日本は東京スタジアムでおこなわれるオープニングゲームでロシアと対戦する。