「アジアラグビーセブンズシリーズ2019」の第1戦(男子・女子)が8月31日、9月1日に韓国・仁川市の仁川南洞アジアードラグビー場で開催された。男女とも8カ国・地域が参加しアジアの覇権を争い、日本が男子、女子とも韓国大会を制した。
■日本男子、最初と最後の落ち着きを! 課題を得た優勝
日本男子はプールA最終戦で先制点を奪われるも逆転、中国を24-12で下し、1位通過でカップトーナメントへ。
準決勝は韓国と対戦。キックオフやリスタートの空中戦でマイボールとし、主将の副島亀里ララボウ ラティアナラが開始50秒から4分でハットトリックトライを達成。前半で5トライ31点を奪い、試合を決めた。最終スコアは43-5。
決勝は、準決勝で中国に逆転勝ちした香港との対決になった。前半3分、この試合も相手に先制トライを奪われる。日本は試合の入りに大きな課題を得た。
1分後、吉澤太一がファイブポインターとなり、5-5の同点に追いつく。そしてハーフタイム前につなぎ、本村直樹の逆転トライを呼んだ。14-5で後半へ。
しかし、後半最初の得点は香港。日本ゴール前、反則から一瞬の間が空いた時を逃さずに加点した(14-12)。
4分、香港が連続トライ寸前に迫る。日本ゴール前のラック。救ったのは松井千士、ターンオーバーから90メートルほどを走り切り、中央インゴールへ。香港懸命のアタックをしのぎ切り、優勝を勝ち取った(21-12)。
岩渕健輔ヘッドコーチは、「最初の落ち着き、最後の落ち着きをどうやって選手が持つか。7人制はいろんなことがある。メンタルをコントロールできないと。ワールドシリーズでも最後の10秒で逆転される」と指摘した。
副島も準決勝の3トライよりも「プレーはまだまだ。ゲーム内での規律を守ることなど自分の課題が出た」と反省していた。今回は、主力の坂井克行、小澤大らが遠征メンバーから外れていた。オリンピック代表への選考は、まだ始まったばかりといえる。
3位決定戦(韓国 vs 中国)。地元、韓国が前半45秒にあっさりとチョン・ジョンミンがトライすると、19-5と優位に後半へ入った。しかし長身選手、馬力のある選手をそろえた中国は強化が実っている。3分、5分と連続トライで同点(19-19)。そしてフルタイムを報せるホーンが鳴った時、韓国が最後の攻めだったが反則、中国がゴール前タップからサヨナラトライを挙げ3位を奪った(19-24)。
今大会の中国の充実ぶりはオリンピック出場権争いを激しくさせる契機となった。
5位決定戦はスリランカがフィリピンに21-14で勝利。7位はUAEで、チャイニーズ・タイペイを31-5で下した。
■日本女子、中国を退け優勝
日本女子はプールC最終戦でスリランカと対戦し、前半1分で原わか花がトライを奪う。原は2分、3分にも連続トライを決めた。前半は24-0、後半も原の4トライ目など計10点を加え、34-7で準決勝へ進んだ。
準決勝、パワーをいかすカザフスタンに先制トライを決められたが。苦しいときにも若手が奮起した。5分、カザフスタンの反則、タップからすぐに右へ回す。小笹知美が仕留め、5-5の同点に。1分後、リスタートのボールをカザフスタンが拾い損ねる。すかさず日本が奪って堤ほの花へ渡り、右ライン際を駆け抜けた。10-5で後半へ。
後半開始1分で再び堤が右隅へ運んだ。カザフスタンも反撃するが、とどめは、つないだボールを黒木理帆が中央へ。22-5でノーサイド。
決勝は、香港との準決勝を19-7で制した中国と対戦。「今年も強くなっている」と中村知春主将。アジアのライバルとはお互いに譲れない攻防を繰り返した。
前半4分、日本がマイボールラインアウトをつなぎ切り、平野優芽が左中間へ先制トライを決めた。2分後、中国が自陣からお返しにつなぎ5点を返し、同点に。
後半、局面を打開したのは黒木だった。2分、右中間へ運んだボールをもらうと黒木はオープンへ走り縦へ、ポスト左へ飛び込んだ。4分にも縦、中央ゴールライン目前まで運ぶと大黒田裕芽へ渡す、難なく7点を追加し、19-5で優勝を決めた。
黒木は話す。「2カ月半かけて食事の内容を改善しました。甘いもの、特に鯛焼きが好きなんですが……甘目は食べるのを月1回にしたし、炭水化物を減らしてタンパク質に変えたりと」。体脂肪率は4%落ちた。結果は現れた。「1試合で勝負を一度すると疲れていたのが何回もできるようになりました」
「今回はチャレンジャーとして臨んだ」という稲田仁ヘッドコーチ。「世界で戦うプレッシャーはもっと強い。アジアのレベルでミスが起きている」と、こちらも課題に取り組む。
3位決定戦は香港がカザフスタンに17-10で勝利。5位決定戦はタイがスリランカに32-5で快勝し、7位決定戦はマレーシアがシンガポールに7-0で競り勝った。
アジアシリーズ第2戦は9月14日、15日に中国で開催される。最終戦は9月28日、29日のスリランカ大会となる。
そしてその後、日本を除くチームは「2020東京オリンピック」のアジア最終予選に臨む。男子は11月23日、24日に韓国・仁川市で開催され、女子は11月9日に中国・光州市が決戦の舞台となる。