「初戦は勝つことが大事。やはりやや固くなったが、勝ち切れたのはよかった」
試合後の田中澄憲監督の表情には安堵の色が見えた。大学選手権連覇を目指す明大が、難敵・筑波を破って今季初戦を終えた。
8月31日、長野県・菅平高原で関東大学対抗戦、リーグ戦の第1節合わせて4試合が行われた。ワールドカップが日本で開催されることから、例年よりも1ー2週間早くなった大学シーンの開幕。しかも、関東は菅平での試合開催と、いつもと違うシーズンの幕開けとなったが、第1日目の結果は順当に終わった。
■関東大学対抗戦A(1節)
(長野・菅平高原サニアパーク)
・早稲田大 68 – 10 日本体育大
・明治大 59 – 33 筑波大
■関東大学リーグ戦1部(1節)
・流通経済大 31 – 19 拓殖大
・東海大 100 – 21 中央大
■関西大学Aリーグ(1節)
(大阪・鶴見緑地球技場)
・摂南大 40 – 52 同志社大
・大阪体育大 0 – 68 天理大
対抗戦昨季4位扱いの明大は、初戦で同5位の筑波大との対戦となった。
最後は明治59-33筑波と開いたが、前半30分まではリードを奪われ(5−12)、後半には7点差にまで詰め寄られた時間帯もあった(33-26)。
明大・武井日向主将は「スキを見せた時間帯があった」と振り返る。
ピンチを自分たちの力で乗り越えた意味で明大の快勝だった。両者の差は総合力。愚直に縦へ。FWは強く体を当てた。BKは試合を通じてシンプルにストレートランと正確で力強いパスを放った。まずはコンタクトとスピードで、攻守に勝った。
2週間前には、同じ菅平で慶大に敗れている(8月21日・●46−54慶大)。田中監督は筑波戦のフォーカスを「リアクションの速さ・的確さ」そして「痛いことから逃げない」に置いていた。
「優勝経験をしているし、うまく試合を運ぶことには自信があるチーム。春は、その部分で勝ててきた面もある。慶應戦では、それに気づかせてもらえた」(田中監督)
ラグビーの本質の部分へのこだわり。練習で取り組んだ課題は、この日見事に改善されていた。
ここぞのディフェンスではしつこく、激しく。スクラムは前半はやや劣勢だったが、後半には力を発揮してスコアの起点になった。
「連覇を狙うにあたって、プレッシャーから逃げることはできない」と田中監督。
「ただ、こうした基本的なことのレベルは、上げなければ、先がない。どこかで気がつくタイミングがあればと思っていたが、慶應戦で勉強させてもらった」
2週間にわたる合宿の最終日にセットされた秋の初戦。「決して夏合宿気分で臨んではならない。もしそうなったら危険」と考えた田中監督は、前日夜に異例の「ジャージー渡し」を行なった。
番号順に、紫紺のファーストジャージーを選手一人ひとりに手渡し、選手はそれぞれの抱負を述べる。
選手からはこの儀式について、「チーム全体が締まった」「緊張した」という。
基本プレーやコミュニケーションだけではなく、メンタル面でも。チャレンジャーの筑波に負けない気迫で、明大が初戦を戦い抜いた。
■あす9月1日のカード
関東大学対抗戦・リーグ戦
・11:15 慶應義塾大 vs 青山学院大(サニアC)
・12:45 成蹊大 vs 帝京大(サニアM)
・10:45 大東文化大 vs 専修大(サニアM)
・13:15 法政大 vs 日本大(サニアC)
関西大学Aリーグ
・13:00 立命館大 vs 近畿大
・15:00 京都産業大 vs 関西学院大
(京都・宝が池公園球技場)