昨季は大学選手権4強入りし、今季は11シーズンぶり16度目の大学日本一を目指す早大ラグビー部が8月31日、加盟する関東大学対抗戦Aの初戦で、前年度下部との入替戦でA残留を決めていた日体大に68—10で勝利。しかし、満足はしなかった。
「きょうが事実上、合宿の最終日。多分、選手は心身ともに疲れている状態だろうと感じます」
相良南海夫監督は言った。今季はワールドカップ日本大会開催に伴う変則日程下とあって、通常より約2週間早い今度の開幕節は、比較的涼しい長野・サニアパーク菅平でおこなわれた。各クラブにとっては普段キャンプ地に使う会場とあって、早大も12日からの夏合宿のクライマックスでこの日体大戦を迎えていた。指揮官は続けた。
「ただ、シーズンが深まって大学選手権に入れば、こういうタフな状況もある。今回はそのシミュレーションという位置づけにしようと話していました。あえて、コンディション調整はしませんでした」
キックオフ。16日から菅平に滞在の日体大が、しぶとい防御とハイパント攻撃を繰り出す。
かたや早大は、こぼれ球の処理や抜け出したあとのパス回しに難儀。前半2分には、NO8のハラトア・ヴァイレアのタックルとターンオーバーから奇襲を浴びて先制される。2点勝ち越して迎えた前半14分には、自陣でハイタックルの反則を犯して7—10とリードを許した。
以後はモールやスクラムでの圧力をきっかけにスコアしたが、プレーの合間の円陣では早大の権丈太郎FWコーチが「変に落ち着いてやろうとか考えるな。激しくいけ。これじゃあ『荒ぶる』取れないぞ」と激を飛ばす。
権丈コーチは2007年度の早大主将として優勝し、チャンピオンとなった時のみ歌う『荒ぶる』を熱唱している。頂上まで駆け上がるには、常にタフであらねばならないと考えているようだ。
「何かこう、きれいにやろうとし過ぎたというか…。もちろん、メンタルの状況は難しいとは思います。夏合宿では天理大戦(〇33—14)、帝京大戦(〇31—21)とライバルとの試合をいい形で勝っていたところでしたので(それぞれ昨季は全国2位、4強)。それに追い込んで練習をしているというのもあったと思います。ただ、『荒ぶる』を取るべくひとつひとつを圧倒するという意味では足りなかったです」
試合では終始まで、日体大のタックラーが早大のランナーにへばりつく。要所では早大SHの齋藤直人主将が軽快に球をさばいて少しずつゲインラインを攻略も、相良監督は「粗さがあった」と反省する。
「(球を)繋ぐのか繋がないのかといったところでハンドリングエラーがあって、ブレイクダウン(での仕事)でも…。細かいことにこだわろうとしてきたのですが、そうできなかった」
権丈コーチは、最後に前を向いた。
「まぁ、本人たちも感じていると思います。まだまだ。まだまだまだまだ…」
早大は8日に東京・早大グラウンドで青学大と、日体大は東京・帝京大百草グラウンドで帝京大とそれぞれ対抗戦2戦目をおこなう。
■関東大学対抗戦A(1節)
(長野・菅平高原サニアパーク)
・早稲田大 68 – 10 日本体育大
・明治大 59 – 33 筑波大
■関東大学リーグ戦1部(1節)
・流通経済大 31 – 19 拓殖大
・東海大 100 – 21 中央大
■関西大学Aリーグ(1節)*更新予定
(大阪・鶴見緑地球技場)
・16:00 摂南大 vs 同志社大
・18:00 大阪体育大 vs 天理大
■あす9月1日のカード
関東大学対抗戦・リーグ戦
・11:15 慶應義塾大 vs 青山学院大(サニアC)
・12:45 成蹊大 vs 帝京大(サニアM)
・10:45 大東文化大 vs 専修大(サニアM)
・13:15 法政大 vs 日本大(サニアC)
関西大学Aリーグ
・13:00 立命館大 vs 近畿大
・15:00 京都産業大 vs 関西学院大
(京都・宝が池公園球技場)