トンプソン ルーク (LO)
「オールアウトのリアルLO」
生年月日:1981年4月16日生まれ
年齢:38歳
出身地:ニュージーランド出身(日本国籍)
身長/体重:196㎝/110㎏
現所属クラブ:近鉄ライナーズ
多くのファンが、この人の代表復帰を待ち望んでいた。いつだってオールアウトのリアルLO。献身という言葉がジャージーを着ているかのような鬼気迫るプレーぶりで、観戦者の琴線を激しくかき鳴らす。
歴史的勝利となった2015年ワールドカップの南アフリカ戦、3点ビハインドで迎えた終了間際に敵陣ゴール前のペナルティでスクラムを選択した際、「歴史変えるの、誰!」と檄を飛ばしたのは、あまりにも有名なエピソードだ。同大会後は代表引退を表明し、LOにケガ人が続出し急遽追加招集された2017年6月のアイルランド戦を除いてジャパンから離れていたが、サンウルブズの今季開幕戦で37歳306日の史上最年長記録となるスーパーラグビーデビューを飾るや、たちまち欠かせぬ主軸に。試合を重ねるごとにパフォーマンスを上げ、6月の代表スコッド入りを勝ち取った。
実は、昨季限りで現役を引退することも頭にあった。しかし最愛の妻が背中を押してくれたことで、ふたたび心に火がついた。2017年アイルランド戦では「僕はおじいちゃんだから」と笑っていた男は、今、「僕はまだ若い。年齢はただの数字。心がいちばん大事」と真剣な表情で言いきる。
キャップ数64は現在のFW陣で最多。もし今秋の日本大会のピッチに立てば、4大会連続のワールドカップ出場となる。経験が大きな意味を持つと言われるビッグイベントで、これほど頼もしい人間はいない。
ヴィンピー・ファンデルヴァルト (LO)
「破壊力満点のピック&ゴー」
生年月日:1989年1月6日生まれ
年齢:30歳
出身地:南アフリカ出身
身長/体重:188㎝/106㎏
現所属クラブ:NTTドコモレッドハリケーンズ
南アフリカ出身者らしくフィジカルバトルを得意とする頑健なLO。188cmの上背は母国のFWとしては小柄な部類だったため活躍の場が限られていたが、2013年にNTTドコモへ移籍し、日本ラグビーの中でもまれてテストマッチプレーヤーへと成長を遂げた。
レッグドライブの推進力が持ち味で、力強く近場をこじ開けるピック&ゴーは破壊力満点。LO、FLのどちらもこなす万能性も、チームにとって貴重なオプションとなる。日本代表での初戦となった’17年秋の世界選抜戦でチャンスをつかみ、続くオーストラリア戦での献身的な働きぶりからジャパンに定着。来日した時からの夢だったワールドカップに向け、腕をぶす。
ヘル ウヴェ (LO)
「相手をなぎ倒す大型クレーン」
年月日:1990年7月12日生まれ
年齢:28歳
出身地:トンガ出身(日本国籍)
身長/体重:193㎝/113㎏
現所属クラブ:ヤマハ発動機ジュビロ
拓殖大時代から図抜けた突破力で知られる存在だったヘル ウヴェの名が一躍全国区となったのは、2017年6月のルーマニア、アイルランドとのテストシリーズ。全3戦に背番号5を着けて先発し、相手をなぎ倒すような猛烈なボールキャリーを連発してたびたびスタンドをどよめかせた。同年より加入したサンウルブズでも南アフリカやニュージーランド勢に対しフィジカルで互角以上に渡り合えることを証明し、膠着局面を打開できる突破役として日本代表での地位を確立した。
ヤマハ発動機では師匠と慕う元NZ代表のモセ・トゥイアリイの元で多くを学び、成長を遂げた。課題のフィットネスと規律面を克服し、レギュラー奪取を狙いたい。
ジェームス・ムーア (LO)
「骨惜しみしないハイタワー」
生年月日:1993年6月11日生まれ
年齢:26歳
出身地:オーストラリア出身
身長/体重:195㎝/102㎏
現所属クラブ:宗像サニックスブルース
母国オーストラリアでは13人制のラグビーリーグで長くプレーし、21歳の時に15人制にコードスイッチ。2016年に23歳で東芝に加入し、2018年シーズンからサンウルブズ、宗像サニックスで実績を重ねてRWCTS入りを勝ち取った。
195cmの身長は国際レベルのLOとしては小さな部類だが、骨惜しみしない意欲的なプレーぶりで首脳陣の信頼を受ける。26歳と若く、成長の余地を大きく残している点も魅力のひとつだ。ウルフパックでは全6戦中4戦に先発し、2試合はフル出場で持ち前のハードワーカーぶりを披露した。この6月には日本代表資格も無事クリア。すっきりとした状態で、ワールドカップメンバー入りを目指す。
リーチ マイケル (FL)
「世界を迎え撃つ最強のスキッパー」
生年月日:1988年10月7日生まれ
年齢:30歳
出身地:ニュージーランド出身(日本国籍)
身長/体重:190㎝/110㎏
現所属クラブ:東芝ブレイブルーパス
いまや日本代表の闘将にとどまらず、日本ラグビーの顔と言うべきプレーヤーになった。脚の付け根のケガで今春の試合は全休したが、6月3日の日本代表発表会見でジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が「110%安心して試合ができる状態になるまで彼を守る」と語ったことからも、いかに大きい存在であるかがわかる。
父はスコットランド系ニュージーランド人で、母はフィジー出身。ニュージーランドのクライストチャーチで育ち、2004年、15歳の時に留学生として北海道の札幌山の手高校に入学した。当時のサイズは身長184cm、体重は80kgほど。童顔で細身だった少年は、日本のラグビーの土壌でみるみる才能を開花させ、世界的プレーヤーへと成長を遂げた。
日本代表に初めて選出されたのは、東海大在学中の2008年。22歳で臨んだ2011年のラグビーワールドカップニュージーランド大会ではプールマッチ全4試合にフル出場を果たし、トンガ戦でマン・オブ・ザ・マッチを獲得するなど出色の活躍を見せた。2013年に日本国籍を取得し、2014年4月にはエディー・ジョーンズHC(当時)のもとでキャプテンに就任する。2015年9月19日のワールドカップの南アフリカ戦、3点ビハインドで迎えた終了直前に指揮官の指示に反してPGではなくスクラムを選択し、国際スポーツ史に燦然と輝く金星へと導いたことは、楕円球関係者なら誰もが知る語り草だ。
2016年シーズンは長年のハードワークによる疲労から代表を離れたが、翌2017年6月より復帰し、同年秋にはキャプテンにもカムバックした。以降、敵地でフランスとドロー、イタリアとジョージアに快勝を収め、オールブラックスから5トライを奪い、聖地トゥイッケナムでイングランドを相手に前半をリードして終えるなど、ジャパンは着実に成果を残してきた。その中心には、攻守に獅子奮迅の働きでチームを牽引するリーチの姿が常にあった。
昨冬の年末年始は家族とともに故郷のニュージーランドやフィジーで「これほど長い休みは人生で初めて」という休暇を過ごし、心身をリフレッシュ。今春の合宿では「ベスト8、4ではなく優勝を目指す」と上方修正した目標を口にし、ワールドカップに向けた決意と覚悟を示した。日本代表が前回大会を越える成績を残すためには、ワールドクラスの実力と精神力を備えたこのスキッパー(船長)の奮闘が欠かせない。万全の状態での帰還は、チームを大きく加速させるはずだ。
姫野 和樹 (FL/NO8)
「強烈なレッグドライブで突き進む和製大砲」
生年月日:1994年7月27日生まれ
年齢:24歳
出身地:愛知県出身
身長/体重:187㎝/108㎏
現所属クラブ:トヨタ自動車ヴェルブリッツ
日本ラグビー界待望の和製大砲である。巨漢レスラーのような肉体に圧巻のパワーを宿し、自分より大きな相手タックラーも軽く弾き飛ばして前に突き進む。フィジカルの強さは、現在の日本代表の中でも際立つほどだ。
一番の魅力は、丸太のように発達した脚をフル稼働させる強烈なレッグドライブ。タックルで倒されたところからボールをリリースし、すかさず立ち上がりながらピックアップしてふたたび前に出る得意技は、相手に当たり勝って乗っかるように食い込み、余裕を持ってボールコントロールとボディコントロールをできるからこそのプレーだ。並外れた推進力は、もちろんスクラムやモールでも威力を発揮する。
高校時代からポテンシャルの高さは評判だったが、帝京大ではケガや仕事量の少なさから控えに甘んじる時期が長く、レギュラーに定着したのは最終学年になってから。しかしトヨタ自動車に加入し、南アフリカ代表をワールドカップ優勝に導いた名将ジェイク・ホワイト監督のもとで1年目からキャプテンを務めたことで、一気に才能が花開いた。「プレッシャーと孤独感で毎日泣いていた」という日々を経て特大の原石は磨かれ、まばゆいばかりの輝きを放つようになった。
すごさがわかりやすいプレースタイルに、端正なルックスと人懐こいキャラクターも相まって、今やジャパン屈指の人気を誇る。初めて挑むワールドカップは、姫野和樹にとって存在を世界にアピールする絶好の機会となる。
ピーター・ラブスカフニ (FL)
「信頼感抜群のハードワーカー」
生年月日:1989年1月11日生まれ
年齢:30歳
出身地:南アフリカ出身
身長/体重:189㎝/105㎏
現所属クラブ:クボタスピアーズ
今春のウルフパックの強化試合では、6戦中3戦で主将を務めた。まだ代表資格取得が確定していない段階で重責を任された事実が、愛称「ラピース」への厚い信頼を物語る。80分間黙々とハードワークし続け、プレーでもメンタル面でも仲間を牽引する姿には、天性のリーダーシップがにじむ。
南アフリカのチーターズ、ブルズでスーパーラグビー50試合に出場し、2016年にクボタに加入。すぐに圧倒的な仕事量でトップリーグ屈指のFLの地位を確立、2018年にはサンウルブズに加わって際立つパフォーマンスを発揮し、代表首脳陣からジャパン入りを嘱望される存在となった。この6月に晴れて代表資格をクリア。桜のジャージーでピッチに立つ姿が待ち遠しい。
ツイ ヘンドリック (FL/NO8)
「切れ味鋭いムードメーカー」
年月日:1987年12月13日生まれ
年齢:31歳
出身地:ニュージーランド出身(日本国籍)
身長/体重:189㎝/108㎏
現所属クラブ:サントリーサンゴリアス
切れ味あるフットワークとBK並みの加速力で相手防御を切り裂くラインブレイカー。昨秋のロシア戦では得意のピック&ゴーから約60mを走りきる圧巻のトライを挙げ、思わぬ苦戦にあえいでいたチームを救った。現在31歳ながら、2015年ワールドカップで全試合に出場(南アフリカ戦はNO8で先発)した時に勝るとも劣らない好パフォーマンスを維持している。
陽気な性格で、所属するサントリーや日本代表のチームソングの作詞を担当するという多才な一面も。2015年大会の帰国会見ではウィットに富んだスピーチを披露し、爆笑を呼んだ。豊富な経験に裏打ちされた安定感あるプレーに加え、ムードメーカーとしても日本代表にとって貴重な存在だ。
德永 祥尭 (FL)
「芯を突き刺すハードタックラー」
生年月日:1992年4月10日生まれ
年齢:27歳
出身地:兵庫県出身
身長/体重:185㎝/100㎏
現所属クラブ:東芝ブレイブルーパス
飄々とした雰囲気をたたえながら、火花散る肉弾戦で体を張ってビッグプレーをやってのける。185cm、100kgとインターナショナル級のバックローとしては決して大きくはないものの、体幹の強さとスピード豊かな脚力は現代表メンバーの中で有数。迷いなく相手の芯に突き刺さるハードタックルでも貢献度は高い。
タイトな状況にもひるまず、率先して厳しい選択をできるのは、生来のハートの強さの表れだ。外国人相手にも臆することなく持ち味を発揮できる点も、国際試合では頼もしい武器となる。2016年には7人制日本代表としてリオデジャネイロ五輪に出場。今度は15人制でも世界最高峰の舞台に立ち、実力を示したい。
アマナキ・レレィ・マフィ (NO8)
「世界屈指の破壊力を誇る神様からの贈り物」
生年月日:1990年1月11日生まれ
年齢:29歳
出身地:トンガ出身
身長/体重:189㎝/112㎏
現所属クラブ:NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
オーストラリアのレベルズに在籍した2018シーズンのスーパーラグビーでは圧倒的なボールキャリー数を記録(253回/2位は197回)、ボールを持って前進した距離も全体4位の1345mと、突出したパフォーマンスを見せた。破壊力満点の突進と躍動感あふれる動きで、いまや世界屈指のNO8の評価は揺るぎない。
トンガから留学生として関西大学Bリーグの花園大に入学。通常ならトップリーグのリクルーター網にはかからないところだったが、大学3年生の春に出場した関西学生南北対抗戦で大暴れする姿を目撃したチーム関係者から声がかかり、トップリーグのNTTコミュニケーションズ入りが決まる。
さらに1年目から他の実績ある外国人選手を押しのけて出場機会をつかむと、インパクトあるランを連発。それを見た日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(当時)は、即座に代表招集を決断したという。ちなみにジョーンズ氏はマフィのことを「ギフト(神様からの贈り物)」と評していた。
南アフリカ戦でカーン・ヘスケスの逆転トライを導くパスを出すなど、2015年ワールドカップでの活躍は記すまでもない。2018年のスーパーラグビー最終戦後に暴力事件を起こし、しばらくは謹慎処分でラグビーから遠ざかったが、秋に復帰。日本代表活動にも2019年の3月より加わり、さっそくサンウルブズやウルフパックで相変わらずの突破力を披露した。ジャパンには、やはりこの男が欠かせない。