ラグビー日本代表は8月18日、北海道・網走入り。ワールドカップ日本大会の登録メンバー決定前最後のキャンプを、19日に本格始動させた(~28日)。
20日は午前、午後と2部構成のトレーニングを実施。特に防御の組織を確認した実戦形式の練習、FWのスクラムセッションでは、激しいつば競り合いが繰り広げられた。ワールドカップのメンバー31名は、いま網走にいる41名のなかから選ばれる見通しだ。
「メンバーが絞られる前の最後のアピールの場なので、皆必死にやっていると思います。自分もひとつひとつの練習からアピールしていこうかと思います」
落ち着いた口ぶりでこう語るのは、松島幸太朗。身長178センチ、体重87キロのランナーだ。歴史的3勝を挙げながら決勝トーナメント進出を逃した前回のイングランド大会にも出場しており、26歳で迎える日本大会では主軸の1人と見なされる。
7月下旬からのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)ではフィジー代表、トンガ代表、アメリカ代表を下し優勝。松島は本職のFBと違うWTBとして、持ち前のラン、キックの捕球技術を披露した。
「各ポジションでハイレベルなものを求められているなか、WTBで結果を出しているのはいいことです」
グラウンドの端に立つWTBは、味方司令塔のキックを追う動きを必須とする。守っては多くの選手が作る防御網に入ったり、相手の足技に備えて後方のスペースをカバーしたりと、運動量と判断力が問われる。
「アタックの時は10番(司令塔のSO)と『裏にいつでも蹴れる(蹴ってもいい)よ』というアイコンタクトを取る。ディフェンスでは、横(防御ライン)とバックフィールド(背後)のコネクションをPNCのテーマにしてきた」
最後尾のFBと異なるWTBとしてのタスクをこう語る松島は、「いまのところいいメンタルで試合、練習ができている」とも話す。チームとしては攻撃中の接点からの球出しなどいくつかの課題を残しているが、本人の視界は良好とのことだ。現時点での心境をこう明かした。
「(強く)意識まではしないですが、PNC、その前にあった宮崎合宿ではどういうメンタルで臨んだのかを思い出しながらやっていきたいです。頑張り過ぎない。もちろん、頑張ってはいますけど、空回りしないよう、自分の仕事を理解して試合に臨み、試合中は(その都度)次に何をすべきかをしっかり考えるようにしています」
ジンバブエ人の父と日本人の母との間に生まれ、神奈川・桐蔭学園で高校日本一になってからは南アフリカ・シャークスのアカデミーで武者修行。同国の20歳以下代表候補となりながら、日本代表になる道を選んで2014年に来日していた。
自身2度目となるワールドカップは、この日からちょうど1か月後に開幕する。松島は言った。
「自分の感覚では、やっと(あと1か月)という感じが強い。個人的には早く試合がしたい気持ちです。自分の得意としているステップワーク、ランをどんどん出していければ、自分にとってもチームにとっても勢いがつく。盛り上げるのはもちろんですが、1試合、1試合、結果を出したい。前回は3勝しながら決勝トーナメントには出られなかった。今回は自分の力で1試合ずつ勝って、確実に決勝トーナメントに行けるようにしたいです」