アメリカ代表を34-20で下し、パシフィック・ネーションズカップ(PNC)で8年ぶりの優勝を決めた日本代表。ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは「誇らしいパフォーマンスを見せてくれた。選手の努力と結果に満足している」と評価した。
着実に力をつけているアメリカ代表にプレッシャーをかけられ、ジャパンもベストパフォーマンスではなかったと認めたが、「これがトーナメントであり、ワールドカップへ向けよい予行演習になった」とコメントした。
母親が亡くなったため母国のニュージーランドに帰国していた指揮官は、アメリカ戦の前日に、フィジー遠征のチームに合流。1週間離れていた間は、ビデオをチェックするなど経過をしっかり見ていたそうで、「(ほかの)コーチたちがよい準備をしてくれた。ゲームプランに関しては10日前から構築していくので、(不在でも)問題はなかった」という。勝った方がPNC優勝という戦いは接戦も予想されたが、「決勝戦なので1点差でも勝てばよかった。アメリカも必死に来るのはわかっていたし、フィジカルを活かして攻めてくることもわかっていた。その中でこのような結果を出せてよかった」と振り返った。
リーチ マイケル主将も勝ったのはよかったとしながらも、規律を課題にあげ、「連続で反則をしたところがあり、相手のペースにつきあうところも変えないといけない」と反省する。「1回はいいけど、繰り返すと試合の勢いがなくなってしまう。スクラムのペナルティも多かったし、いつもするペナルティも多かった」
アメリカ戦で評価できるところは、という問いに対して主将は、「ラインアウトディフェンスがよかった。あとは試合中、焦ってないのがよかったかな」と語る。
日本が挙げた2トライ目はFWが盛り返してチャンスが広がったが、「フィジカル的に負けてない感じはあった。フィジー、トンガとも戦い、フィジカルに関しては問題ない。そこからプレッシャーをかけてボールを取ってアタックする。それは練習でいつもやってること」と手ごたえを感じている。
PNCは3試合ともリードして逃げ切る展開となったが、リーチ主将は相手との準備の時間の差をかなり感じるという。「他のチームは準備時間が短い。でも日本ラグビーは、かなり強くなってきている感じはする。特にフィジカルエリア。トンガ、アメリカ、フィジーに負けてない」
ワールドカップ期間中に31歳の誕生日を迎えるリーチは、アメリカ戦の前日、母の故郷であるフィジーでプレーするのは最後になるかもと発言していたが、この日は2トライを挙げるなど活躍。家族など50人が応援に来ていたそうで、「今年の中のハイライトかな」。21点差をつけた後半17分に交代したが、自身のパフォーマンスについては「もう少しワークレートを上げたかった」とコメントした。
今回のPNCは3試合ともトライ量産によるボーナスポイント獲得で全勝優勝したが、リーチ主将は「ワールドカップへ向けいい流れだけど、変な自信をつけないほうがいい」と気を引き締める。2011年も同大会で優勝したものの、数か月後のワールドカップでは1分け3敗という成績に終わった。「ワールドカップでのサモアやロシア(2019年大会の対戦相手)は違う」と話し、さらなるチーム力アップを誓う。
日本代表はこのあと、1週間の休みをはさみ、8月18日から28日まで北海道の網走で合宿をおこなう。そして、9月6日には埼玉・熊谷ラグビー場で本番前最後のテストマッチを南アフリカ代表と戦う。
ワールドカップに臨む最終登録メンバー31人は9月2日までに提出することになっており、PNC3試合でメンバーはだいたい決まったかと訊かれたジョセフ ヘッドコーチは、「なんとなく構想はできている。ここまで試合ごとに6~7人メンバーを変えているし、決勝戦でも変えた。そういうコーチはなかなかいないと思う。あくまでもフォーカスはその先。いろんな選手にチャンスを与えて、コンビネーションの確認もあった。このあと、ビデオを見直して誰がよいプレーをしたのか吟味してから、スコッド構想に入りたい」とコメントした。