ラグビーリパブリック

山下裕史、日本代表復帰のためには神戸製鋼で「頑張るしかない」。

2019.08.07

トップリーグカップの準決勝でボールを手に前進する山下裕史(撮影:毛受亮介)

 ラグビー日本代表は8月10日、アメリカ代表とのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)第3戦に挑む。すでに開催地のフィジー入り。国内の同大会2連戦は31人で挑んだが、現在は26名の精鋭部隊となっている。

 そのグループに左PRの山本幸輝が入ったのを「希望の星」と喜んだのは、右PRの山下裕史だ。

 2人は6月上旬から7月中旬までの同代表の宮崎合宿に参加も、PNCのスコッドからは漏れた。最近は似た立場の選手と福岡・宗像でキャンプを張り、8月2日までサニックスの所属選手と汗を流していた。そのため昇格が叶った山本へは、居残り組同士のグループLINEで「頑張ってこい」と励ましのメッセージが送られたようだ。

 宮崎合宿では強度の高い練習がおこなわれたが、宗像でのトレーニングも「宮崎の合宿を4週目、5週目までやった感じです」と山下。実戦練習の合間にバイクをこぐなどし、走力を鍛えた。PNC終了後は北海道・網走で合宿があり、山下はそちらへ再合流の見込み。野太い声で意気込んだ。

「網走へいい状態で行くことがいまの当面の目的ですかね」

 身長183センチ、体重118キロの33歳。スクラム自慢の右PRとして日本代表51キャップ(代表戦出場数)を獲得してきた。2015年にはワールドカップ・イングランド大会のメンバーにもなり、歴史的3勝を経験している。

 ジェイミー・ジョセフ現ヘッドコーチ(HC)体制の代表へは、昨秋初めて招集された。ワールドカップ日本大会開催年の今年は、代表強化のために作られた日本のサンウルブズの一員としてスーパーラグビーでプレー。宮崎合宿メンバー入りを勝ち取っていた。

 PNCに参加できない旨はジョセフHCから直接、言い渡されたという。

「(課題は)運動量。セットピースがいいのはわかっているから、それ以外のところを…と。あとは日本代表がセットプレーチームではないこと、(ヴァル アサエリ)愛さん、木津(悠輔)に(右PRとして)チャンスを与えたいこと、リーチやラピースの怪我の状況(リーチ マイケル、ピーター・ラブスカフニら故障者の多いFW第3列で多くのメンバーが必要である点)について言われました。…でも、言い訳はなんぼでも言えるのでね。選ばれてないので、頑張るしかないです!」

 宗像から所属先の神戸製鋼へ戻るや、8月4日には同部が参加するトップリーグカップの準決勝へ出た。サントリーとの一戦で後半7分に登場し、32-26のスコアで10日の決勝(大阪・東大阪市花園ラグビー場)へコマを進めた。

 過密日程を強いられた通称「ヤンブー」の起用について、神戸製鋼のデーブ・ディロンHCは「理由はシンプル。彼が日本代表クラスの3番で、神戸製鋼にとって大切な選手であること。そして、準決勝が大切な試合だということです」。山下本人も、社員選手として現状を前向きに捉える。

「まぁ、こっちへ帰ってきたら優勝のチャンスがある。会社員としては神戸製鋼の優勝も(日本代表と)同じくらい価値はある。期待を背負って決勝を戦いたいです」

 ファイナルではクボタと激突。視線の先には、2大会連続となるワールドカップ出場を見据える。

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