ラグビーワールドカップ日本大会の開幕まであと50日を切った。日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、激しいポジション争いを促す一方で主力候補の調整も考慮に入れる。
8月3日、大阪・東大阪市花園ラグビー場でパシフィック・ネーションズカップのトンガ代表戦に挑む。7月27日に岩手・釜石鵜住居復興スタジアムでおこなわれたフィジー代表との初戦(〇34-21)から、先発を5名、入れ替えている。変化はLO、FL、SH、WTBの位置にあった。
スタメンLOのひとりが、フィジー戦で日本代表デビューのジェームス・ムーアから同戦で控えだったヴィンピー・ファンデルヴァルトにチェンジ。空席のベンチには故障明けのヘル ウヴェをスタンバイさせた。
背番号6、7をつけるFLでは、故障したピーター・ラブスカフニに替わって徳永祥尭が背番号7として登録される。背番号6では前回先発の姫野和樹と控えだったリーチ マイケル主将が入れ替わった。リーチは長らく、恥骨を痛めて長期離脱。今季初めてスターティングメンバーに名を連ねることとなる。
ジョセフHCは言った。
「リーチ先発復帰。戻ってくれて大歓迎です。彼はいままでゲームタイムがなかったので試合の時間を与えます。フィジー戦が7か月ぶりの試合だったので、忍耐強く経過を追っていく。ムーアはいいパフォーマンスをしていましたが、今回はヴィンピーに機会を与えます。リザーブにはヘル ウヴェ。宮崎での負傷から明け、この位置に戻っています。姫野のリザーブ入りはアンラッキーなものです。マイケルが復活するということで、姫野には違う役割、ベンチからのインパクトを与える役割を担ってもらいます」
さらにSH、WTBも「競争が激しいポジション」だと指摘。フィジー戦で先発したSHの茂野海人、トンガ戦で背番号9をつける流大について「流はいいリーダーシップも持っていて、選手に自信を与える。茂野はおとなしいが流と異なるスキルを持つ」と言及。エース格の福岡堅樹が控えに回ったWTBについては、「コンビネーションをしっかり見たいです」とした。
現在ツアーに帯同する31名のうち、一度もベンチ入りを果たしていないのは故障者を含めて4名。逆に、2戦連続で先発するメンバーは10名いる。ワールドカップイヤーの代表戦では当落線上の選手のセレクションがおこなわれる傾向もあるが、ジョセフHCは主力候補のコンディショニングに主眼を置いていそうだ。
長らく故障していたCTBのラファエレ ティモシー、FBのウィリアム・トゥポウの2戦連続先発の理由について「ベストではないが状態を整えている。それはチームの半分のメンバーに言えることです」とし、多くの選手にゲームタイムを与える可能性について聞かれると「(自分のなかではすでに)十分に機会を与えている」と断言した。
「あくまでワールドカップへ向けて準備をしているので、それ以上でもそれ以下でもない。ベストメンバーの構想はありますが、定位置争いが激しい位置ではいろいろな選手に機会を与えています」
いまから大舞台での活躍が期待されている選手、今後のアピール次第で最前線に加われる選手ともに、いま置かれた場所で最善を尽くす。ワールドカップのメンバーは9月2日までに決まる。セレクションの過程も注目される。