タフに、スマートに働く。ラグビー日本代表は8月3日、大阪・東大阪市花園ラグビー場でパシフィック・ネーションズカップ(PNC)のトンガ代表戦に挑む。攻守両面で身体をぶつけるCTBの位置には、中村亮土、ラファエレ ティモシーが入る。同じ1991年生まれの2人は1日、大阪府内で試合を展望した。
7月27日には岩手・釜石鵜住居復興スタジアムで、フィジー代表とのPNC初戦を34-21で制した。しかし、2戦連続でスターターとなるCTB陣は満足しない。13番のラファエレは「ボールを使えていたが得点を取りこぼしていた。得点機も増やしたい」とし、12番の中村もこう応じた。
「チームがトライを取り切る機会を増やすポジションに入る。チャンスをトライまで持っていけるよう、つなげていきたいです」
身長178センチ、体重92キロの中村は、海外勢に引けを取らないフィジカリティを強みとしながら「予測力が上がっているかもしれないです」。タックルするや即座に起き上がり、前方、左右を確認しながら適切な位置取りと周りへの声掛けを意識する。
パワフルさを前面に押し出すトンガ代表へは、「僕はディフェンスのところでチームへ貢献したい」と、もともとのよさを披露したいという。チームの計画に触れる形で、こう決意を明かした。
「ディフェンスの時間を多くするプランがある。相手の強みであるフィジカルへも、自分の強みであるところをぶつけていきたいです。フィジー代表戦同様、2人でタックルに入る。1対3の状況を作って、相手のパワーを止めていくことへは、今週も力を入れています」
中村の語る「ディフェンスの時間を多くするプラン」とは、球を蹴って相手へ渡す回数を増やすのと同義だろう。迫りくる防御の裏へキックを放ち、相手に後退を強いる。向こうのスタミナを削りながら、少しでも敵陣のゴールラインに近い位置で防御網を張る。そんな青写真を持っているためか、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチもこう言及する。
「フィジー代表戦では相手が防御ラインを上げてこなかったので、(攻撃の)勢いを付けやすかった。トンガ代表はラインスピードを上げるので、こちらも違う対策をしなくては」
キックの精度や選択肢について、中村は「ボールインプレーの(プレーが継続する)時間を長くしながら、キックを蹴る。(球をグラウンドの)外に出さないで相手がキックに対してクイックボールを入れる」とする。
「9番、10番(司令塔団のSH、SO)からのキック、12番、15番(CTBやFB)からのキックといろんなオプションの準備はしています」
身長186センチ、体重98キロで中村と同級生のラファエレも、左足のキックが蹴られる。相手にとっては厄介だろう。サモア生まれでニュージーランド育ちのマルチプレーヤーは、「(アタックでは)バックスリーにチャンスを作りたいです」とも話した。
ワールドカップの日本大会開幕まであと50日を切った。代表戦出場数を意味するキャップをそれぞれ17、15、保持する中村とラファエレは、本番で登録メンバーに入れば大会初出場が叶う。もっとも中村は「この週はトンガ戦へ向けて準備していて。あまり先のことは考えていないかもしれないです」と、ラファエレは「一大イベントが控えていますけど、目の前にあることをしっかりと取り組みたいです」とそれぞれ語る。一戦必勝を誓う。