ラグビーリパブリック

トンガ戦へ向け、マフィ、中村、木津などが奮闘誓う。

2019.08.02

会見するアマナキ・レレイ・マフィ(左)とヴィンピー・ファンデルヴァルト(撮影:BBM)

 トンガから来日し、京都にある花園大学で学んだアマナキ・レレイ・マフィは、日本代表の背番号8をつけて臨む8月3日の試合(パシフィック・ネーションズカップ)を楽しみにしている。大阪・東大阪市花園ラグビー場で、母国の代表選手たちと対戦するのだ。
「関西は4年間住んだ土地。モチベーションは高い」
 大学時代から交際していた奥さんの両親と食事をすることもでき、リフレッシュした様子。対戦相手のトンガ代表について訊かれると、こう言った。
「トンガは小さい国だから、相手もだいたい知り合い。エモーショナルな気持ちはある。コントロールして試合で魅せたい」

 トンガ戦へ向けた合宿中、日本代表主将のリーチ マイケルがラトゥ ウィリアム志南利さん(シナリ・ラトゥ)についてスピーチをした。ラトゥさんはトンガ出身で、1980年代に大東文化大学を日本一に導き、三洋電機でも活躍、1987年から1995年にかけて日本代表として32キャップを重ねワールドカップ3大会に出場しているレジェンドだ。現在は日本国籍を持ち、ラグビーワールドカップ2019アンバサダーとしても活動している。
 誇り高き桜の戦士だったラトゥ先輩について話をした理由を、リーチ主将は「潜在意識を強化するため。そこで相手に差をつけないと」と説明する。「ラトゥのレガシーは大きい。彼が日本に来なければ、自分(ニュージーランド出身。札幌山の手高校→東海大学)が今ここにいることもない。外国人留学生をとることはなかったかもしれない」

 南アフリカ出身のヴィンピー・ファンデルヴァルトも胸に熱いものを感じたという。
「ラトゥの話を聞いて、歴史的な背景を知りモチベーションになった」
 NTTドコモレッドハリケーンズに所属するファンデルヴァルトにとって関西はホームでもあり、「(日本代表が泊っている)ホテルは自分の家から20分。何回か家に帰ったし、行きつけの店で食事もできた」。背番号5をつけて先発する花園での試合へ向け、「トンガFWは順目で攻撃する。そこを止めてチームに貢献したい」と意気込む。

 日本代表は先週、釜石で世界ランキング9位の格上であるフィジー代表に勝ったものの、後半はタックル成功率が下がっていた。前半33分からの出場だったリーチは、恥骨炎の影響により約7か月ぶりの実戦だったことを言い訳にせず、「フィジー戦で(自身は)2回ミスタックルがあった。全体のタックル成功率は75%、後半は34%。課題は理解している」と、ディフェンスを修正ポイントにあげる。「コンディションがきついなかでコントロールしなければ。80分間飛ばすことはできないので、適度にレスト(休み)を入れたりしながら、相手が勢いに乗っている時間帯をコントロールする」と語った。

中村亮土(左)とラファエレ ティモシー(撮影:BBM)

 12番で先発する中村亮土は、「トンガはボールを持ってあたりに行くのが好きなイメージだったけど、分析とそのイメージは一緒だった。トンガ戦はディフェンスの時間が多くなる思う。フィジカルな相手に対して自分の強みをぶつけていきたい」とコメント。
 中村と同じく2試合連続でミッドフィールドに立つラファエレ ティモシーは、「フィジカルな相手。高いレベルでプレーしている選手もいるので要注意」と気を引き締めた。

 開幕まで50日を切ったワールドカップへ向け、選手たちの競争は激しい。
 フィジー戦のスターティングメンバーから5人が替わったが、日本代表デビューとなったフィジー戦で負傷交代したFLのピーター“ラピース”・ラブスカフニについてジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは「膝の内側を痛めた」ことを明かした。
 リーダーシップもあるラブスカフニの状態は心配だが、同じバックローでプレーするリーチが先発メンバーに戻ったのは大きいと指揮官は言う。フィジー戦で活躍した姫野和樹をリザーブに回し、「リーチにゲームタイムを与える」とした。

 LOのポジション争いも激化している。フィジー戦で奮闘したジェームス・ムーアに替わり、トンガ戦はファンデルヴァルトがチャンスを与えられた。怪我から復活したヘル ウヴェはリザーブに名を連ね、パフォーマンスが期待される。

 SHも層が厚い。トンガ戦は流大が先発、茂野海人がベンチで待機となり、ベテランの田中史朗は2試合連続で出番なし。これについてジョセフ ヘッドコーチは、「フミ(田中)は今日(8月1日)の練習には参加したが、今週は試合に出られる練習はしていない。流はリーダーシップもある、茂野とそれぞれ、良さがある」とコメント。
 WTBについては、福岡堅樹、レメキ ロマノ ラヴァ、松島幸太朗らがいい競争ができていると話した。

 先週のフィジー戦で途中出場し初キャップを獲得したPRの木津悠輔は、「まだ自分の立場は崖っぷちだと思ってる」と冷静だ。フィジー戦はアグレッシブなメンタルで組めたと振り返り、その点は長谷川慎スクラムコーチからも評価してもらったという。「ただ、押しに行きすぎるあまり、味方をいい形で前に出せなかった」と反省する23歳のニューフェイス。トンガ戦へ向けては、「気持ちは大胆に、プレーはじっくりと前に出たい」と意気込みを語った。

木津悠輔(撮影:BBM)