高校生の7人制ラグビーの全国大会であるアシックスカップの第6回大会が7月20日から3日間、長野・サニアパーク菅平であり、計16の予選プールの1位チームによるカップトーナメントでは、神奈川の桐蔭学園が初優勝。3~4月にあった15人制の全国選抜大会に続き、春夏2冠を達成した。
決勝では、どちらが勝っても初の王者となっていた。大会パンフレットによれば前年度の同大会メンバーを「12名」残す國學院栃木に対し、桐蔭学園は組織的に圧力をかけた。終盤には連続失点を喫したが、24-22で逃げ切る。
佐藤健次のトライなどで14-5とリードして迎えた前半5分ごろには、グラウンド中盤で細かくパスをつなぐ國學院栃木を前に鉄壁の防御網を敷く。意図的な飛び出しでパスコースを防いだり、複数名で列を整えたりしてゲインラインを割らせない。最後は、浮き球を受け取る選手への鋭いタックルでミスを誘った。直後のスクラムからの展開で、伊藤大祐がトライを決め19-5とリードを広げる。國學院栃木陣営の1人は「(桐蔭学園の守りは)堅かった」と驚いた。
桐蔭学園は4月28日~5月5日の国際大会、サニックスワールドユース(福岡・グローバルアリーナ)終了後から、15人制向けにおこなってきたトレーニングを7人制に活かせるようマイナーチェンジした。
カップトーナメントのMVPにも輝いた伊藤は「個性を大切にした。15人制にもつながる個々のレベルアップをやってきた結果、一人ひとり前に出る部分が――本当はまだまだですけど――長けていたので、優勝できたのかなという感じです」と言葉を選ぶ。
藤原秀之監督は「レンジを広げたり、(ハンドリングスキルを高めるべく)重いボール、小さいボール、いびつなボールを使ったりという形で練習しました」とプロセスを明かした。
大会のスコッドは、藤原監督が7人制部門の指揮官となった福本剛コーチともに構成。対戦校の特徴によって、柔軟にメンバーを入れ替えた。
長崎北陽台との準決勝でも、防御で粘れるメンバー構成を意識。相手は2日目の準々決勝で好ランナー揃いの東福岡を破っていたが、桐蔭学園は36-12で逃げ切った。藤原監督は「(長崎北陽台に)トライを取られる時も一発でやられるのではなく、(相手の連続攻撃が終わるまでに)2分ぐらいかかった」。7分ハーフという7人制の試合時間を踏まえ、選手たちを讃えた。
以後は15人制に注力する。夏合宿、秋の県大会を経て、冬の全国大会で初の単独優勝を狙う。藤原監督によれば、アシックスカップ開催中はチームに帯同していない全部員が日体大レスリング部の練習に参加。本格的なレスリングを実施しているとのことだ。指揮官は続ける。
「こいつら(アシックスカップ組)よりもハードにやっているという報告を受けています」
セブンズ仕込みのスキル、レスリング仕込みの身体操作を、今後の実戦練習に活かしたいところだ。