ラグビーリパブリック

ジョセフHC、PNCで若手にもチャンス与える。「いろいろ試したい。W杯で通用するか見たい」

2019.07.17

指揮官が「経験浅いが非常にポテンシャルを持った若手」と期待するアタアタ・モエアキオラ(撮影:Hiroaki.UENO)

 ラグビーワールドカップ2019日本大会の開幕まであと約2か月。6月9日から3クールに分けておこなわれてきた日本代表の宮崎合宿が7月17日で終わり、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチが総括の会見を開いた。
「非常にいい合宿ができたと思う。ほとんどの選手がストレングスとコンディショニングの測定で自己ベストを記録した。怪我人は出たが、ワールドカップに影響するような深刻な怪我人は出ていない。非常に成功したという手応えを感じている」

 宮崎合宿最終日には、日本国国歌『君が代』に歌われている「さざれ石」がある日向市の大御神社(おおみじんじゃ)を訪れた。
「自分としては、選手たちが心身ともに非常にコミットしてくれた合宿だったので、締めくくりとして神社に行ってお祈りをするのは非常に大事だと思った。いろんな文化、いろんな国籍の選手たちがこのチームにはいるので、あそこに行くことで、日本の文化に自ら触れてもらうことが大事だと思った。特に外国出身の選手たちはいろいろ感じたと思う。試合で誇りをもって国歌を歌うためにも非常に大事なことだと思ったし、合宿の締めくくりには最適なことだと思った」

 7月27日からはパシフィック・ネーションズカップ(PNC)に臨み、ワールドカップ2019にも出場するフィジー代表、トンガ代表、アメリカ代表相手にテストマッチをおこなう。
「プレッシャーがかかってくると思うが、しっかり準備をしてきたので練習でやってきたことを試合につなげたい」と指揮官。PNC初戦でぶつかるフィジー代表は、先週末にニュージーランドのマオリ代表“マオリ・オールブラックス“を62年ぶりに倒しており、「非常に強いチームだと思う。いままでの典型的な(ボールを変幻自在に動かすだけの)フィジーとは違うと思う。我々はタフなトレーニングを続けてきたが、実際のゲームで鍛えるのが久々なので、初戦としてはかなり手強い相手だと思う。ワールドカップへ向けてのファーストステップととらえている」と語った。

今秋のワールドカップまでに日本代表資格取得ができないことが判明したラーボニ・ウォーレンボスアヤコ
(撮影:Hiroaki.UENO)

 PNCに臨むメンバー31人(FW 18、BK 13)については、「すべてのポジションについて非常に悩んだ。それくらい優秀な選手がそろっている」というジョセフ ヘッドコーチ。ワールドカップの最終登録メンバーも31人だが、今回の31人はあくまでPNC用のメンバーであり、いろいろ試したいこともあるとのこと。特にフロントローは怪我人が多く、4人選ばれたプロップのうち最多キャップは稲垣啓太の25キャップで、ヴァル アサエリ愛は5キャップ、三浦昌悟は練習生からチャンスをつかんだ選手で、木津悠輔はテストマッチ未経験だ。
「選ばれなかった選手はアンラッキーだったと思う。しかし、あくまでもこの次の試合はファーストステップであり、怪我人が出たので、新しい選手を試してみたいという気持ちがある。チャンスを与えないとワールドカップで通用するかどうかわからない。山下(裕史)はワールドカップを経験していて成熟した選手でセットプレーも非常に強いが、不確定な2人をいろいろ試してみて、彼らがワールドカップでもやれるかどうか見てみたい。機会がめぐってきた選手は、自分のポテンシャルをしっかり発揮して、自分はこのレベルで通用する選手だということをコーチ陣にしっかり証明しなければならない」

 ルースFW(3列)が7人選ばれたのは、リーチ マイケルとピーター“ラピース”・ラブスカフニがまだ100%の状態ではないため、層を厚くしなければならなかったという。
 また、宮崎合宿に参加していたNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコがワールドカップまでに36か月継続居住の条件を満たせず、日本代表資格を取得できないことが判明したため離脱することになったが、それについて指揮官は「サンウルブズでも非常にいいパフォーマンスをして成長した選手だったので、チームの一員になれればよかったが、ルールはルール。いろんな理由があって今回は代表資格が得られなかったということなので、仕方がないこと。それについては、くよくよできない」とコメントした。

 ワールドカップへ向け、チーム強化はもちろん、選手個々のアピールチャンスとしても大事な大会になるPNC。ジョセフ ヘッドコーチは、現状でベストなメンバーを選べたと思うと豪語した。
「いいプレーをしたらそのまま残るし、悪いプレーをしたら代えられる。若手とベテランが混ざった、非常にバランスの取れたスコッドだと思う。2015年と同じようなチームだとワールドカップで勝つことはできないし、いいブレンドができていると思う」

■パシフィック・ネーションズカップ2019 日本代表メンバー