ラグビーワールドカップ後の去就が注目されていたボーデン・バレットの選択は、新たなチームでの挑戦だった。来年もニュージーランド国内でプレーする。9年在籍したウェリントンのハリケーンズから、オークランドを拠点とするブルーズへ移籍することを決めた。4年契約。同国代表“オールブラックス”の10番をつける28歳のスタンドオフは、ニュージーランドラグビー協会(NZR)とも2023年までの契約にサインをしたことが7月12日に発表された。
今年のワールドカップ後、長期休養に入るとみられるバレットだが、来年のスーパーラグビー期間中にブルージャージーを着ての勇姿を披露する予定。
そしてNZRによれば、今後4年間、NZRおよびブルーズとの交渉により、日本で短期間プレーすることも可能なオプションも持つという。
ワールドラグビーの年間最優秀選手賞に2度(2016、2017年)輝いたことがあるボーデン・バレットのもとには、日本やヨーロッパの複数クラブからオファーが届いていたといわれる。しかし、海外を拠点とする選手はオールブラックスに選ばないというポリシーを持っているNZRは、長期休養と期間限定のジャパンリーグ参戦を認めるという柔軟な契約で世界的スターの確保に成功した。
オールブラックスで73キャップを重ね、同代表歴代4位の595得点を記録しているバレットは、まずは約2か月後に開幕するワールドカップ日本大会に集中し、4年後にフランスで開催される大舞台も視野に入れることとなる。
8人きょうだいの次男であるボーデン・バレット(弟のスコット、ジョーディーもオールブラックス)は、出身地のニュープリマスがあるタラナキ地方の代表としてシニアのキャリアをスタートし、2011年、かつて父ケヴィンも在籍したハリケーンズの選手となって同チームで9季プレーした。2016年のスーパーラグビーでは223点を入れて得点王となり、ハリケーンズ悲願の初優勝に貢献。その後もエースとして3季連続準決勝に導いてきた。
ウェリントンは妻のハンナさんにとっても大学の拠点だったため、たくさんの思い出があるその地からオークランドに移ると決めたのは大きな決断だったというバレット。ハリケーンズでは125試合に出場し、「現在の私があるのは、ハリケーンズの環境とラグビースタイルがあったから。そして、すばらしい仲間たちに恵まれた」と感謝する。そして同時に、「人生の次の章を楽しみにしている」とコメントした。
移籍するブルーズは、スーパーラグビーで3度の優勝を誇る名門だが、2011年を最後にプレーオフから遠ざかっており、ワールドクラスの司令塔を必要としていた。観客の激減はクラブだけでなくオークランドのフィル・ゴフ市長も心配しており、ブルーズのバレット獲得をすばらしいニュースと喜び、「(国の)人口の35パーセントを占めるオークランドが、スーパーラグビーのトップに戻るべき時が来た」と期待している。