今年3月にモスク(イスラム礼拝所)銃乱射事件が発生し、51人が亡くなるという悲しい出来事があったニュージーランド南島のクライストチャーチだが、市民が愛するラグビーチームが久々に明るいニュースをもたらした。
南半球のラグビー4大国であるニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチン、そして日本のサンウルブズも参加し、15チームが5か月にわたって熱戦を繰り広げた2019年の「スーパーラグビー」は、7月6日にファイナルを迎え、クルセイダーズが地元のファンの前でジャガーズ(アルゼンチン)に19-3で競り勝ち、3年連続10回目の優勝を成し遂げた。1996年からのスーパーラグビー史で、その優勝回数は断トツの最多記録。3連覇をしたことがあるのはクルセイダーズだけで、1998~2000年に達成して以来、2度目の快挙となった。
クライストチャーチのオレンジセオリー・スタジアムでおこなわれた頂上決戦。
先制したのは、大会参戦4年目で初の決勝進出を果たし、南米のファンの期待を背負ったジャガーズだった。前半16分、SOのホアキン・ディアス・ボニーシャがPGを決め、3点を刻んだ。
しかしクルセイダーズは25分、ハイボールをキャッチした相手選手にプレッシャーをかけてボールを奪い返し、主将のLOサム・ホワイトロックが左外を力走してゲイン、サポートについていたHOコーディー・テイラーにつなぎ、トライが生まれ逆転した。
その後、勇ましい挑戦者であるジャガーズが何度かゴールに迫ったものの、クルセイダーズは粘り強いディフェンスで主導権を渡さなかった。
10-3で迎えた53分(後半13分)、クルセイダーズは強力スクラムでPGチャンスを得、3点を追加。58分にもジャガーズに反則があってSOリッチー・モウンガが確実にショットを決め、73分にも赤いジャージーのFWがスクラムで圧倒すると、ハーフウェイ付近から10番がPGをねじ込み、点差を広げた。
クルセイダーズの堅守は最後まで崩れることなく、やがてノーサイドに。スーパーラグビーの優勝トロフィーは、クライストチャーチに輝いた。