ラグビーリパブリック

U20日本代表・水間監督が、U20トロフィーで選手に期待することとは。

2019.07.03

U20日本代表の福井翔大キャプテン(左)と水間良武監督(撮影:向 風見也)

 ラグビーの20歳以下(U20)日本代表は7月9~21日、ブラジルでワールドラグビーU20トロフィーに挑む。優勝すれば来年は上位大会のU20チャンピオンシップへ2季ぶりに復帰できる。水間良武監督はボトムアップ式の組織作りをしつつ、現地視察のもと本番への準備を進める。

 候補メンバーを集めた「TIDキャンプ」では、いまの体制を発足させた前年度の第5回キャンプで「いかに選手へいいものを提供できるか」を考慮。国内トップリーグ経験者の視察や臨時指導を促してきた。

 才能発掘へは、日頃から大学生をつぶさに見る関係者の知見を活用。始動直前の就任という日程的なハンディをものともせず、本番を直前に迎える。

 その過程では、複数の有力選手が自チームでの活動への専念、大会日程と重なった期末テストへの注力などのため辞退を表明してきた。今度のメンバー28名中、4~5月にオーストラリアであった「2019 オセアニアラグビーU20チャンピオンシップ」に参加していない選手は9名にのぼる。

 しかし水間監督は、「(参加した)選手は帰った先でもそのチームの指導者に『成長している』と嬉しいことを言ってもらえています」。穏やかな顔つきを変えない。

「新しいメンバーが9人いますが、19人は(それ以前と)一緒。19人が9人をリードしてやるラグビーを引き継いでくれている。現地でも練習時間はありますし、オフフィールドを含めた仕掛けもしてある」

 事前に開催地入り。世話係にあたるリエゾンの候補者と現地で対面すると、ここでは事前視察をしておいてよかったと心から安堵する。

「もともと日本語を話せる人をお願いしていたんですけど、いざ会ってみたら日本語は知っている程度で英語は話せない。チームが着いた時点でその方と対面していたら、チームが回らなくなる可能性があった。…よかったですよ」

 2日間の滞在で、よりコミュニケーションの取りやすいリエゾンを探し、通常のグラウンドより狭い試合会場もチェックした。期間中に選手のストレスを軽減させるよう、使用するホテルでも目を光らせたという。現在は小栗和秀チームマネージャーが残り、最終調整をしているようだ。

 初戦の相手はもともと北米予選優勝チームの予定も、かねて大会前の合同練習を組んでいたU20ブラジル代表に変更された。以後は13日にU20ウルグアイ代表、17日にU20ケニア代表と激突する。21日には、ふたつあるプールの同順位同士による順位決定戦が開かれる。優勝するには、プールの1位通過は欠かせない。

 初戦の相手と事前に身体をぶつけることへ、水間監督は「向こうのヘッドコーチに『大丈夫?』と聞いたら『やりましょう。我々は世界に出る機会がないから、選手に経験を積ませてあげたい』ということでした」。先方へ情報が漏れるなどの心配はないとしたうえで、「ターゲットは初戦」と息巻く。

「中3日で4試合あるので、早めに点差を広げ、早めに交代させる。(注目点は)セットピースですよね。特にブラジルは。ケニアはもう少しボールを横に動かしますが。(それぞれの)映像はアナリストが見つけてきてくれたものを観ました」
 
 この夏は優勝を目指すと同時に、「残したいものは文化。(大会後の選手が)大学に帰って、いろいろと発信してチームにいい影響を与えてもらいたい」とも考える。体験者の言葉に触れることで、来季以降の有資格者が同代表へ参加したいと思ってくれたら最高だ。

「だから、メディアの皆さんも発信、お願いします」

 いわば伝道師としても期待される28名へは、こんな期待も口にしたのだった。

「この大会は日本以外に7チームが出ますが、ここで友だちをたくさん作って欲しいです。このスポーツをしていると友だちがたくさんできて、その友だちはラグビーが終わってからも相談に乗ったり、いろいろと助けてくれたりする」

 チームは2日、出発した。

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