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「私はイノベーション担当」新任の清宮副会長、展望語る

2019.07.01
会見後には、メディアと名刺交換を申し出た清宮氏(撮影:BBM)

会見後には、メディアと名刺交換を申し出た清宮氏(撮影:BBM)

「私と、境田さんと谷口さんがイノベーション担当になるわけです」

 6月29日の日本ラグビー協会・副会長就任を受けて、清宮克幸氏が会見を行なった。

 森重隆会長(当時は副会長)から、副会長就任の打診を受けて以来の期間を「嵐のような一か月だった」と振り返った清宮氏。要請を受けた理由については「これは自分しかできないと思った」と振り返った。

7月14日には日本協会から、各理事24名の担当セクションが発表される予定だが、清宮氏は、自らの役割について、冒頭のように表現。プロバスケットBリーグのように、外部人材を活用していくのか、とメディアに問われると、うなづくように答えた。

「それは、新しい理事の顔ぶれを見れば分かります。境田さん(正樹/新理事。弁護士、東大理事)は、私からお願いをして理事に入れていただいた。境田さんと谷口さん(真由美/新理事)に後ろについてもらって、私と3人でチャレンジしたい」

 森重隆会長からは、トップリーグ(以下TL)の改革を託されている。清宮氏は、ワールドカップが終わるまでの5か月の間に、TLの新たなビジョンをラグビーファンに向けて示すとし、その第一弾として、7月28日にイベントを開き、シンポジウム形式で、自らの構想について発表をすると述べた。

TLの太田治チェアマンが8月末に発表するとしたTLの新フォーマットとの内容の棲み分けなどについては不明。7月28日のイベントについても発表はされていない。清宮氏は、太田チェアマンらが、各チームに向けて提示したTLのフォーマット(4月25日/8チーム制、1月開幕)については、「まだ決まっていないとしか言えない」とのスタンスだ。

 下記は、会見での発言の抜粋(7月1日)。

——森会長から託されたTL改革について、一番にチェックしていくことは何か。

清宮「日本ラグビーの全体を考えて、攻めるべきところ、守るべきところ、そのバランスをとっていきたい。ただ、守るためにはまず攻めないといけない。やはり、トップの部分をしっかり形作らねばならない。ただ攻めるといっても、武器がないことには戦えない。このひと月、どれだけその武器を携えることができるのか、という時間だと思う」

——4月に発表されたフォーマットについては。

清宮「決まっていることについては粛々と進める。決まっていないことについてはまだ言えない。これは、僕がこうしたいと思っているからすべてそうなる、というものではなくて、自分にとってもチャレンジであると思っている」

——思い描くTL、日本ラグビーの像は、どんなイメージか。

清宮「…これは、面白い! と思ってもらえるようなもの。TLについてはこれまでもいろいろな機会に、コメントやイメージを求められてきたが、私は一貫してそれには答えてこなかった。自分の仕事ではない、と考えていたから。このひと月はそれをひっくり返すほどの激動の期間だった」

——攻めるとは、具体的には?

清宮「今はないものです。しっかりと攻めて得るべきものを得れば、守ることもできると思う」

——集客や、TLの日本代表強化の観点から、サンウルブズについて。サンウルブズは弱かったけれど、新しいお客さんが集まった。この点については。

清宮「新しいファンを呼んだ価値については、私もわかっています。サンウルブズについては、弱いとか赤字だとか、そういう言い方をしたくない。チャレンジをして、新しい価値を作ったと思う」

——7月28日のイベントについて

清宮「これまでのビジョンの発表というのは、日本ラグビーのステークホルダーの企業の皆さんにあらかじめ一つひとつ説明をして、という段取りを経て行なってきたと思う。今回はもっとシンプルに『こんなことをしたいんだけどどうだろう』という披露の場。日本協会の中にも、『事前に聞かされていない』という仲間は出てくるかもしれない」

 早大、サントリー、ヤマハと、指導者として常にチームを変えてきた改革者、新天地で振るう手腕には今後も注目が集まりそうだ。

清宮克幸
きよみや・かつゆき。1967年生まれ、51歳。大阪府出身。茨田高ー早大ーサントリー。現役時代はFL、NO8。現役引退後、早大監督としてチームを13年ぶりの大学日本一に。その後はサントリー、ヤマハ発動機で指揮。2015年度にはヤマハを日本選手権優勝に導く。2019年1月、『アザレア・スポーツクラブ』代表理事に。

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